2012年08月12日(日) |
伊織の手紙−海より−(仮)・11 |
「……ん?」 自称・人間観察をしていたリオさんが首をかしげる。ジュースを飲むのをやめて彼の方をのぞきみるとリオさんは不思議そうな顔をして言った。 「あそこに見えるのって何だと思う?」 リオさんにならって視線を砂浜から海に移動させる。海には水遊びを楽しむカップル、その奥には流れる浮き輪。そしてその先には…… 「浮き輪?」 普通は泳げない人や子どもが海遊びをするときに使うものだ。だから当然子どもがそばにいないとおかしい。 海に浮かぶのは小さな浮き輪が一つ。じゃあ、子どもは一体どこへ? 「…………!」 嫌な予感がして砂浜に戻る。 「イオリちゃんどうしたの?」 まだ砂遊びをしていたニナちゃんに半ば詰め寄る形で問いかける。 「ニナちゃん、さっきここにいた子ども達ってまだいるかな」 「いると思うけど」 ふりかえって人数を確かめる。一人、二人、三人。 「四、ごー、六」 『七人?』 二人の声が重なる。たしかはじめは全員で八人いたはず。じゃあ、残りの一人はどこへ? 「オレ見たよ。さっき一人浮き輪持って海に入っていった」 名前は確かシャーリィだったかな、そう聞き終わる前に体が動いていた。 「ニナちゃん達は親御さんを捜してきて。わたしは海に行ってくる!」 「どうしたんだ?」 騒ぎを聞きつけたユータスが顔を上げる。 「お願い。緊急事態なの」
過去日記
2007年08月12日(日) 現状報告 2005年08月12日(金) 「SkyHigh,FlyHigh!」Part,68UP 2004年08月12日(木) はまりました
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