つれづれ日記。
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2012年08月09日(木) 伊織の手紙−海より−(仮)・8

「泳げないなら教えてあげるよ?」
「ありがとう。でも今日はちょっと体調が悪いから」
 わらってごまかす。正確には体調よりも気分がのらなかったんだけど。
 よく見るとニナちゃんとウィルくんの周りには複数の子ども達がいた。詳しく聞くと同じく遊びにきていたらしい。全部で六人。ニナちゃん達をあわせたら八人。なかなかの大人数になる。
「お兄ちゃんは?」
 相方の所在を尋ねるとみんなはだまって指を指す。そこには砂浜の上にシートを敷きテントの中で本を読むユータの姿があった。
「何やってるの?」
「読書」
 見ればわかる。
「そうじゃなくて。ニナちゃんとウィルくんのことはいいの?」
「だからこうして見てる」
 確かにユータスは海に行くとは言っても泳ぐとは一言もいってない。だから服装の厨房にいるときとほとんど変わらない。若干薄着になった程度。
 なんだかものすごくずるい気がする。
「もしかして泳げないの?」
 なにげなく聞いてみるも反応はなし。読書に夢中になってしまったようだ。
「おにいちゃん、いっつもこうなの。一度夢中になったらとうぶんはこのまま」
「兄ちゃんのことはほっといてイオリちゃん遊ぼうぜ」
 妹や弟のほうが兄よりも何倍もしっかりしていた。






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