2012年08月06日(月) |
伊織の手紙−海より−(仮)・6 |
「それはわからねえな。俺としては穏やかな海を見て気持ちを静めたいところだが、あの姿を見れば心中穏やかじゃいられない」 そう言って海岸からもどってきたトモエさんの方を向く。白い水着が同じく白い肌に似合ってまぶしい。同性のわたしから見てもどきどきするもの。ちなみにパティは赤のチェック柄の水着。上下にわかれていてとても似合ってる。 ふいに自分の格好を見下ろして、上にはおっていたパーカーを慌てて閉じ直す。海にきたんだから当然水着は着用している。だけど泳ぐかどうかは決めかねていたからぎりぎりで迷って上着をはおることで落ち着いた。今日は海に来たのであって泳ぎに来たわけじゃないんだから。それよりも今はトモエさんを守らなきゃ。 「ユリシーズさんも来ていたんですね」 そしてトモエさんは何度も何度も言いくるめられてるのに人がいいのかなんなのか相手の意図に全く気づこうとしない。 「貴女のまぶしさにはニーヴもかすんでしまう。ましてやトリアイナ(海の守り神)も道をあけることでしょう」 「ユリシーズさんもお上手ですのね」 その証拠にまったく気づいてない。しかもなんだか変な方向に話がずれちゃってるし。 「お世辞ではありません。貴女の前ではどんなものだって――」 「だったら海に沈めてやろうか」 怒りをはらんだ声にふりかえるとそこにはトモエさんの旦那様が仁王立ちしていた。 「なんだ。あんたもいたのか」 「俺はこいつの夫だ。いて何が悪い」 「ああ悪いね。あんたがいたらトモエさんとゆっくり話もできやしない」 「どの口がそんなこと言いやがる」 「面白い。やろうってのか?」 一触即発。そんなとき。 「周りにギャラリーがいることだし、ここは穏便にこれでいくのはどうだ?」 そこにはビーチボールを手にした先生がいた。
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