つれづれ日記。
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2012年08月05日(日) 伊織の手紙−海より−(仮)・5

 一週間後。藤の湯とグラツィア施療院御一行+αは予定通り海へ行くことになった。
「晴れてよかったですね」
「トモエさんの日頃の行いがいいからですよ」
「パティちゃんったら口が上手いんだから」
 本当に。雲一つない晴天で海遊びにはもってこいの天気。でもわたしにとってはできれば雨になってほしかった。
「イオリちゃんもこっちおいでよ!」
 先に出かけたパティやトモエさんに後から行くと告げて周りを見回す。
 海だから当然海水にぬれる。だから水遊びを目的とした面々はみんな水着は持参済み。今もこうして海を楽しんでいる。ここティル・ナ・ノーグにきてわかったことだけど気温の変化はほとんどない。強いて言えば白花(シラハナ)でいうところの春に近い感覚。シラハナは四季があって夏と呼ばれる時期に海遊びをすることがおおいのだけれど。ここは気候が変わらないから思い立ったが吉日とばかりに思い思いの面々が海へ遊びにくる。ちなみに海への道のりは藤の湯から小一時間ほど。海竜亭からだともっと短い時間でたどりつく。
「久々に顔を出してみればこんなありがたいものが拝めるなんてな。まったくもっていい場面に遭遇したな」
 だから海竜亭の面々が遊びに来ていても何ら不思議はない。
「なんでユリシーズがここにいるの」
「ここって海竜亭の目と鼻の先だろ。いてなにが悪い?」
 少し長めの前髪。青がかった緑の瞳がしてやったりと笑っている。
「悪くはないけどトモエさんには近づかないで」
 彼はわたしよりもずっと年上。でも呼び捨てにしてるのは外見からかもしだされる軟派な雰囲気ととある一件からで。尊敬するに値しないと早々に踏んでからはずっと名前の呼び捨てになっている。






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