つれづれ日記。
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2012年04月20日(金) 白花(シラハナ)への手紙(仮)・71

「それで。先生のおめがねにはかなったんですか?」
 要領をえないまま、リオさんが院長先生に尋ねる。


「ちょうど人手もたりないし、従業員を募集しようかと思っていたところではある」
「だったら――」
「だからといって、見ず知らずの人間を急に家で住み込みで働かせるってわけにもいかないな」
 それはそうだろう。今日知り合ったばかりの人間をいきなり住み込みで働かせるってわけにもいかないだろうし。そうなると、どこか宿を借りて一から施療院を訪ねて回るしかないだろうか。
「だから。これならどうだろう?」
 一人思案にふけっていると先生が人差し指をピッとたてた。院長先生が提案したものに唖然とする。確かにそれは理にかなっている。でも本当にそれでいいんだろうか?
「それでもいいなら試用期間ということでひきうけよう。どうする?」
 先生の提案に一も二もなくうなずいて。帰り際、今度はグラッツィア施療院からの手紙を二通持ち帰ることになった。
『人の手紙を勝手に見ないことは当然として。こちらの一通は君の実家にぜひ届けてほしい』
 先生にねんをおされ、ついさっき書いたばかりの自分の手紙と一緒に白い封筒に入れる。
 もう一つの手紙はアルテニカ家にあてられたもの。こちらも渡すと、イオリちゃんよかったわねと笑顔でかえされた。
 まさか、二つの手紙にあんなことが書かれているなんて当時のわたしにはしるよしもなかった。






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