2012年01月30日(月) |
白花(シラハナ)への手紙(仮)・16 |
「お待たせしました。アニータ特性アップルパイです」 ティル・ナ・ノーグの言語はなんとか読み書きができる程度には覚えた。初めてのお店だったから心配だったけど注文したものがテーブルにとどいたからどうやらうまくいったみたいだ。 「おじいちゃんも食べてください」 椅子をひいて座ってもらった後、自分自身も口にする。さくさくとした記事に焼きリンゴとクリームが重なって口の中で広がる。 「おいしい!」 アップルパイはもちろん白花(シラハナ)にもある。だけど少しぱさついていたような気がする。土地柄の違いからだろうか。 「お嬢ちゃんはここへ来るのははじめてかい?」 「そうです」 食事をとりながらこれまでのいきさつを話す。父親がティル・ナ・ノーグの出身だということ、医術を学ぶために単身ここまでやってきたこと。 「シラハナから一人ではるばるここまでやってきたんかい。親御さんにはとめられなかったかね」 「止められました」 特にお父さんに。 「へーっ。白花(シラハナ)から来たんだ。私、アニータ・ライムント。たぶん同じ年ごろだと思うけど、どうかしら」 「17歳です」 「やっぱり同じね。一人で外国に来るなんてすごいなあ」 「そんな。お店で働いてるアニータさんのほうがよっぽどすごいです」 少しだけ見てたけど、注文を聞いてできた料理を運んで。お昼なのに人はたくさんいるのに間違うことなく料理をテーブルに運んでいく。感心していると、彼女を呼ぶ声が聞こえた。 「私、ここで働いてるから。また来ることがあったらいつでもよってね」 鮮やかな緑の瞳を細めた後、アニータはそう言って仕事にもどっていった。
過去日記
2010年01月30日(土) 形になったかな 2006年01月30日(月) 中間報告十四回目 2005年01月30日(日) なんだかんだ言ってまた見てます。 2004年01月30日(金) 「EVER GREEN」5−0UP
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