2010年07月09日(金) |
委員長のゆううつ。その2−39 |
今回の目的は父親を捜し出すこと。でも生まれてこのかた十六年も会ったことないし、これで見つかればもうけものとばかりで着いてきた。何よりも無理矢理だったし。 だけど、自分の不満を周りにぶちまけたところで何も変わらないのもわかっている。むしろ空しさが増強するだけだってことも。 「あたし、何やってるんだろう」 誰にともなくつぶやく。ついでに膝もかかえてみる。 知らない場所で、知らないもの、見たことも聞いたこともないものを発見して。ついでにお土産なんかを買ったりして。普通の修学旅行ならそれでいいんだろう。でも今いる場所は異世界で。見ず知らずの動物――海獣に襲われかけてあやうく死んでしまうところだった。 でも、マリーナさんの言うようにしょげて落ち込んで終わりというのもシャクすぎる。じゃあ、あたしは今からどうすればいいんだろう。 膝の間に顔をうずめて考えていると、ふいに足先に暖かさを感じた。人でもなくましてや妖精でもない。現時点で考えられるものといえば。 「なぐさめてくれるの?」 あたしの言ったことがわかったかのように。狼はくぅんと小さくないた。ついでに前足があたしの足元を触っていた。目の前に狼。普通は悲鳴でもあげて逃げ出しそうなところだけど、今のあたしにはそんな気力はない。だからといって頭を撫でてあげられるような度胸もなくて。つかず離れずの場所で一人と一匹たわいもない話をした。
過去日記
2005年07月09日(土) やってみました 2004年07月09日(金) 「EVER GREEN」6−7UP 2003年07月09日(水) 某チャットにて
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