2010年07月04日(日) |
委員長のゆううつ。その2−34 |
目を開けるとそこにあったのは横に倒れた巨大うさぎ。体にはナイフが深々と刺さっている。大きさからいって包丁と同じくらいか短剣と呼んでもいいだろう。 近くには子うさぎがいる。体をすりよせて、まるで親が目覚めるのを待っているかのように。 「見た目にだまされちゃいけないよ」 手には獣にささったものと同じナイフ。彼が投げたということは一目瞭然だった。 かわいそうじゃないですか。とは言えない。先輩が助けてくれなかったらあたしはたぶん、かみ殺されていただろうから。 だけど。 「初歩の初歩。あと逃げるなら逃げるでちゃんと視野をいれておかないと」 「……あたしが悪いんですか」 「違うよっていってほしい?」 あたしがいなかったら目の前の獣は死ぬことはなかった。食物連鎖の知識くらいあたしにはある。 だけど。 「先輩は、優しくありませんね」 「優しくしてほしかったの?」 即答で返された。しかも笑顔で。 本当に優しくない。
過去日記
2005年07月04日(月) 「EVER GREEN」7−11UP 2004年07月04日(日) 人は二週間でどれだけ成長することができるのか? 2003年07月04日(金) EVER GREEN2−12UP
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