2010年07月02日(金) |
委員長のゆううつ。その2−32 |
うさぎというものは、目が赤くて長い耳が二つあって。体全体が柔らかい毛で覆われててぴょんぴょん飛んで。冬場になると雪うさぎなんてものも作られたりする。草をはむはむしたり動く様がなんとも愛らしくて。 そう。草食系。草を食べる比較的大人しい動物のはずなのだ。 今、あたしの目の前にいる動物はというと、耳は長い。ただし、あたしの腕と同じくらいの長さだ。 体は柔らかい毛に覆われている。ただし、大きいというよりも単純にでかい。具体的には小さな子どもくらいの大きさ。 こんな動物が目の前に現れたら人はどう思うだろうか。少なくともあたしはこう思う。怖い、と。 「じゃま、だったかな」 異世界の動物だから言葉が通じるとは限らない。そもそも地球でも日本語はまず通じない。危害だって加えられてないし二匹いるだけなら可愛い親子と思えなくもない。 それでも怖いものは怖くて。おじゃましましたとばかりに後ろ向きに歩く。 一歩、二歩。 三歩目後ずさろうとしたその時。その動物は音もなく近づいてきた。 「……っ!?」 単に一緒に遊びたいだけかもしれない。前向きにそう考えてみる。でも大きな口の中には同じく大きな歯があって。しかも鋭いというよりも硬そうで。赤い目が血走っていることだけは異世界初心者のあたしでもわかる。 こんな時にあたしができることといえばただ一つ。 逃げて、逃げて。とにかく逃げる。 でも見た目と裏腹にものすごく早い。 悲しいことに、ここだけは地球上のうさぎとまったく同じだった。
過去日記
2007年07月02日(月) とりあえずはひと段落? 2006年07月02日(日) 結婚式 2004年07月02日(金) 「EVER GREEN」6−6UP 2003年07月02日(水) 休日の過ごしかた。その2。
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