つれづれ日記。
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2010年04月09日(金) 委員長のゆううつ。8

 この世界。
 目の前の男子ははっきりそう言った。
「シホちゃんって言うんだ」
「……高木詩帆(たかぎしほ)です」
 学校からの帰り道。あたしの右隣にはなぜかさっきの男子生徒がいる。暇だからとなぜか後をついてこられ、無視をしていたものの、あまりのうっとうしさにだったら隣を歩いて下さいと根負けしたあたしがなくなく頼んだのと自ら名乗り出るはめになってしまったためだ。
「ぼくはセイル。セイルくんでもセイルちゃんとでも呼んでね」
「わかりました。先輩ですね」
 再びあたしと男子生徒――先輩の声が重なる。
 先輩だとわかったのは彼が根ほり葉ほり質問してきたからだ。

 2年4組で出席番号は一番最後の41番。飛び入りだったから仕方ないね。でもなんとなくかっこいい感じがしない?
 こっちの八月って『ナツヤスミ』って呼ぶんだっけ。その日にこの世界にきてさ。右も左もわからないわけ。一応、ミモトヒキウケニンってやつがいるけどそいつらが言うには、ぼくくらいの年齢の人間は学校に行かないといけないらしいね。死にものぐるいで勉強させられたよ。これって虐待じゃないのかなあ。だからこうしてのんびり休憩させてもらっていたわけ。

「色々と日本語が間違ってます。もう一度、一から勉強しなおして下さい」
 一通り話し終えた後、彼にむかってぴしゃりと言い放つ。
「そもそも話の内容と表情に説得力が全然ありません。同意を得たいのならもう少し神妙な顔をしてください」 






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2004年04月09日(金) お花見
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