2010年04月04日(日) |
委員長のゆううつ(仮)。3 |
「そう言うと思いました。でも失礼ですが、お腹がすいていたようでしたので」 スープとサンドイッチを差し出してくれたのは長身の男の人。黒い髪に緑の瞳。黒に緑といってもそんじょそこらの黒と緑じゃない。黒は黒でも漆黒で、緑は緑でも宝石の色――そう。まるでエメラルドを模したかのような色だ。 うん。普通にカッコいい。ピンチの時にはぜひこんな男の人に助けてもらいたいなあ。 一方、背後から声をかけた人はというと。 「ここまできて盛大に腹の音ならしてんだもの。君って度胸あるんだね」 銀色の髪に青の瞳。 茶目っ気というよりは、なんとなく斜にかまえたような色で。あたしと同じくらいの背格好で、あたしと同じ学校の制服を着た男子は皿の上のサンドイッチをぱくりと食べた。 まだ食べたかったのに。恨みがましい視線を向けると『そんなに食い意地はってたの?』って視線返しされた。食べ物の恨みは怖いんだから。 って―― 「せん……ぱい?」 「うん、そう。ぼくって先輩なの。ここではね」 そう言って男子は、先輩は肩をすくめてみせた。
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