「お断りします」 即答すると再び家路につく。 「早いな。おい」 帰ったら何のゲームをしよう。RPGは時間がかかるからな。ここはひとつ、友人から借りたアクションでもやるべきか。 「そんなかたいこと言わずに!」 まてよ。ああいうのは一度はまると朝までってパターンが多い。せっかくの休みをそれでつぶすのはもったいないな。 「兄さん頼む! この通りだから!!」 腕をつかまれた。痛い。 「なあ。頼むよ。これ売って帰らないと今日のかせぎが」 知るか。 そもそも俺じゃなくても他にいるだろ。買い物帰りのおばちゃんとか女子高生とか。 男に言い寄られる筋合いはない。無視して帰ろうとするも、腕はなかなか離れない。 そう思い振り返ると。男は泣きそうな顔をしていた。 「一個だけでもいいから。頼むよ」 男というよりもおっさんだ。いや、おっさんも男だから同じか。 いつのまにか、俺とおっさんの周囲に人はいなくなっていた。正確には少し離れた場所で通行人が遠巻きに俺たちを見ている。 視線が痛い。やめてくれ。俺はしごくまっとうな学生だ。 この窮地を脱するための方法はひとつ。 「じゃあ、ひとつください」 ため息をつくと。荷物の中から財布を取り出した。
過去日記
2006年03月08日(水) メモ書き 1 2004年03月08日(月) あと70♪
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