つれづれ日記。
つれづれ日記。

2010年03月08日(月) つかれてるひと。4

「お断りします」
 即答すると再び家路につく。
「早いな。おい」
 帰ったら何のゲームをしよう。RPGは時間がかかるからな。ここはひとつ、友人から借りたアクションでもやるべきか。
「そんなかたいこと言わずに!」
 まてよ。ああいうのは一度はまると朝までってパターンが多い。せっかくの休みをそれでつぶすのはもったいないな。
「兄さん頼む! この通りだから!!」
 腕をつかまれた。痛い。
「なあ。頼むよ。これ売って帰らないと今日のかせぎが」
 知るか。
 そもそも俺じゃなくても他にいるだろ。買い物帰りのおばちゃんとか女子高生とか。
 男に言い寄られる筋合いはない。無視して帰ろうとするも、腕はなかなか離れない。
 そう思い振り返ると。男は泣きそうな顔をしていた。
「一個だけでもいいから。頼むよ」
 男というよりもおっさんだ。いや、おっさんも男だから同じか。 
 いつのまにか、俺とおっさんの周囲に人はいなくなっていた。正確には少し離れた場所で通行人が遠巻きに俺たちを見ている。
 視線が痛い。やめてくれ。俺はしごくまっとうな学生だ。
 この窮地を脱するための方法はひとつ。
「じゃあ、ひとつください」
 ため息をつくと。荷物の中から財布を取り出した。






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