SkyHigh,FlyHigh!
Part,11−4
「まったく。男の子ってデリカシーがないんだから」 ショウの後姿を見ながらシェリアが憤然と言う。 「ほら。シーナもそんな顔してないで早く体ふいて」 あらかじめ用意していたのだろう。大きなタオルを体にかぶせる。 「本当はお風呂に入ったほうがいいんだけど。これで我慢してね」 「うん……」 シェリアになすがままにされながら、まりいは弱弱しくうなずいた。 「……何も聞かないの?」 「これから話してくれるんでしょ?」 「…………」 タオルがあってよかった。まりいは心底そう思った。 まりいは涙を必死にこらえていた。 いじめられっ子だった子供時代。何かがあるたびに部屋の片隅で一人で泣いていた。それは、まりいにとって精一杯の抵抗だった。 人に涙を見せるのは嫌だから。特に顔見知りには知られなくなかった。心配をかけたくないから? ……違う。愛想をつかされることが――嫌われてしまうことが怖かったのだ。足手まといには――いらない子供にはなりたくない。 「はい、終わり。次はこれに着替えて」 体をふき終わると今度は紙袋を差し出す。 「これ私のじゃ――」 「気分転換よ。大切な話をするんでしょ?」 「…………」 こらえていた涙が、また出そうになっていた。
過去日記
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