SkyHigh,FlyHigh!
Part,10−5
(ここはどこにでもある名もない湖。砦はどこにでもあるけれど決して人の目に触れることはない。それなのに私とあなたはこうして話をしている。不思議なものですね) まりいが絶句する中、水の精霊は淡々と語った。 (あなたはこの世界の人間ではない。少なくともこの世界で育った人間ではない。それなのに、あなたを見ているとどこか懐かしい気持ちになる。なぜかしら) 「……どうして、そう思うんですか?」 これは夢じゃないの? なんで精霊がそんなことを知っているの? (私は水の精霊。私たち精霊には人の心というものがわかるのです。……あなたは今、迷っていますね) 精霊の声に、まりいは押し黙るしかなかった。
確かに。まりいは迷っていた。 眠っていたはずなのに気がついたら目の前に見知らぬ男の子が――ショウがいて。シェリアという公女様と共に旅をすることになって。 だけど―― この精霊は、人の心がわかると言った。それなら―― 意を決してまりいは精霊にたずねた。 「ここは、この世界は――私の『夢』なんですか?」
過去日記
|