世を忍ぶ仮の日記
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| 2002年08月21日(水) |
痛さのそのまた向こうまで |
さくじつの日記は削除致しました。 読んだあなたはレア! さぞ「こんなもん読んで1分損したな」と思ったことだと思います。 かと言っていつも損してないのかと問われると陳謝するしか無いんですが。
朝、本当は凄い早起きしようと思ったのですが、頭痛のあまり眠れない日々が続き、気がつくと9時。 畜生、朝1番早起きして爺婆に負けず大病院に行ってやろうと思ったのに。
そんな訳で、今回もお送りする、閣下が巡る大病院の旅、第2弾で御座います。 今回は、慶應大学病院(正式名称記憶無し)。 しかも整形外科とあっては、爺婆の巣窟のイメージが御座います。 前回の聖路加国際病院はうさんくさいくらいに綺麗なところでしたが、今回の慶應大学病院は、古くさい、病院らしい病院で、どっちかつーたらこっちの方が好き、と第一印象で思いました。 まず雪崩のように病院に向かう人々。 案内の事務の人が非常に親切。 分かりやすい説明。 ……混んでいる。 覚悟の上で行ったから良いんですけど。午前中1番乗りしたって予約の人には叶わないんだもん、初診。 紹介状があるからなんとかなるんだけど、聖路加なんて紹介状無い人間は足切りされるからね(東大か、聖路加は)。 閣下、3度の飯より医者が好きなので、病院に行く時はなるべく女の子らしい格好をする。しかし頭痛の為血色悪く、虫に14カ所刺されて肌悪く、寝不足で顔がむくみ、頭痛によるストレスで体重が増えている。洋服如きでフォローできない自分の中身。 ちなみにこの場合の「3度の飯より」というのは「3回も飯食えねえよ」という意味でもある。 案内の説明は比較的分かりやすくとも、もともと無かったところに野戦上のように「予診所」がもうけられている為オロオロしてしまうが、そこは半泣きの顔を理学療法士さんに振りまく(迷惑行為)事でなんとか切り抜ける。 わたくしこの前、近所の整形外科に行きましたが、大きな病院自体滅多に無いし、整形外科なんて更に縁遠いで、何をされるのやらと思ったら、どうやら被爆(レメトゲン)しないといけないらしい。理学療法士さんに異様に懇切丁寧に場所の説明を受け(←白痴扱いされてる私)レントゲン室まで行く。タヒチやら石垣島やら綺麗な写真を飾って隠されてはいるが「放射能管理室」と書いてあるのがなんとも禍々しい。と勝手に妄想するも、右手を乗せてちょっとしたらあっという間に終わってしまった。しかもレントゲン技師も受付のお姉さんも感じ良いでやんの。 もっと「ただいま被爆中、ただいま被爆中」みたいな緊張感が走るんだと思っていたので、レントゲン受ける前から多少パニックになっていたらしく 「こっち向いて座って下さいね」のこっち側がどっちなのか分からなくなり 「そんなに難しく考えないでそのまま座ってください」と笑われた。 嗚呼、これは小学校の時 「前向きなさいっ」と怒られて 「前ってどっちが前って定義するんですか〜? わっかんな〜い」 とか小生意気な返事してた罰に違いない。 終わってぐったり。 何もしてないんだけど兎に角ぐったりしつつ、エグい専門書をこっそり読む。なるべく近くに人が来られたら困るような本。だって待ち時間長いんだからあきらめがつくくらいの本ってこれくらいしか無かったし。見られたくない度数で言ったら、小学生がボーボワール読んでいるようなレベル。 昼も過ぎてしばらくしたら、紙を持った看護婦さんが 「24番以降の方は、1時間以上時間があるので、昼食を摂ってきてください」との事。 予約無しの私、番号が分からないので訊ねたら、 「…58番の後に順番が入っているので、地下1階や1階に喫茶店など御座いますから、昼食を摂って来て下さい」と優しい看護婦さんが申し訳なさそうに言ってくれた。 ……白衣の天使(←めっさ可愛かった)。 しかし午前で24番まで終わらない状態が、午後で70番まで終われるんだろうか。一抹の不安を覚えつつ、とりあえず地下に降りると理容院やコンビニ風駄菓子屋、パン屋や軽食屋があり、コーヒーでも飲みたいくらい眠たかった私は軽食を選び、冷たいパスタを食べる。はつらつとして人生楽しそうな店員さん。病院の中にこういう空間があったら癒されるだろうという理想の店だ。 地下1階の、一般人が入れない場所では看護婦さんや医者が食事をする場所が設けてあり、「ここでいくつのドラマが生まれたのだろう、ぐふふ」と勝手に妄想をたくましくする。それからコンビニ風駄菓子屋で女性週刊誌などを立ち読み。女性週刊誌よりもトルコ祭りの方が数倍面白いことを改めて確信。 暇を持てあまし仕方なくもう1度整形外科待合室の前に座って、病院風景を眺める。本当は探検したくてウズウズなのだが、ここはぐっと我慢するのが山羊座の乙女というものだ。我慢我慢。でも目の前で温厚そうな立場の上そうな医者と、中年医師がすれ違うだけで何故か萌えてしまうのだ。何を想像したんだ、私。もう既にわかんないけど未だあの興奮冷めやらない。目の前をかっこいい女医さんが通り過ぎてみたり、あまりにも美味しすぎる。 ポジティブにばかり感情を向けていた訳では無い。病院であるからには無論目の前を大病患う人が通り過ぎて行くわけで、その度に胸が締め付けられるような思いにも駆られる。そこが病院というものなのだ。 胸だけじゃなくて胃も締め付けられてきた。 太ってきたくせに胃が弱ってきている今日この頃。多分頭痛薬の飲み過ぎの所為。午前中に「具合の悪くなってきた人は看護婦に申し出て下さい」のような文字をしかと目に焼き付けておいた私は、ふらふらと処置室の看護婦さんに 「あの……具合が…胃が痛いんですけど、何処か休める場所は無いですか?」 と切なげに訴える。 演技派の勝負所。 だって他の人は待合室ソファで待ってる訳だから、ある意味卑怯手段だし。 後ろめたさも持ちつつの涙目。 聖路加では看護婦さんが目で威嚇するのでこの技が使えず、仕方なくソファで死んでいた(←やっぱり病院内で体調を悪くする人)。屍と化した私を冷たい目で見ていった聖路加の理学療法士の目を私は忘れない。 慶應大学病院は違った。 外科という場所も良かったのだろう。 「胃」と言ったら「お昼ご飯食べなかったんですか?」と言われ「食べたら……」と気弱な笑みを浮かべてみせると(←やなヤツだな自分) 「あっ、ここでよければ」 と処置用ベッドを貸してくれた。 万歳慶應大学病院大好きだ。 しかも申し訳なさそうに貸してくれる。そりゃ入院用ベッドのような寝心地とはいかないが、そこまで望んでいた訳では無い。屍を人に晒すのがちょっと躊躇われただけなのだ。もしかしたら内科だったら薬渡されて終わりだったかもしれない。でもここは外科。 上の看護婦さんも心配して覗きに来てくれたり、なんだかとても優しかった。 とりあえず胃が動き出したので、居座り続けるのも悪いので起きてまた普通に待つ。
……16時を過ぎた頃だろうか、突然移動を余儀なくされ、待合室のそのまた中の待合室へ移動。異様に乱暴に追い払われ、後ろで椅子を動かす音がする。その頃丁度順番が回ってきかけていた。 今回の整形外科の旅、医者を指名した為、その医者の人気が高く時間がかかってしまったらしい。 あまりに人が多いので診察室数個に患者を入れ、医者がそこを回るという、半ば往診状態になっていた。 先にレントゲンを用意されるので、自分の骨を見て遊ぶ。マジで楽しく遊ぶ。 「ホラホラ、これがぼくの骨。見ているのはぼく。おかしなことだ」と中原中也の詩を入れてみた。女にしてはやたら骨張ってんだかなんなんだか、しっかりした骨であった。手の骨って面白い。見てて飽きることが無い。 しかも腫瘍もきちんと見えた。 そう。 今回の目的は 「この腫瘍はなあに?」なのでした。 右手の手首の肝心な腱付近に気がつけば、ぽっこりとふくらみが。 痛くは無いけどこれから先このままあるのはいかがなものなのかしら? 手術とか、必要なの? そう思って紹介状まで持って病院に行ったのでございました。 目的見失うところだったよ。
ダンディな、整形外科医登場。 ポマードでオールバックにした寡黙そうなところがグー。 しかし、学校名とピアノ科が判明した途端手帳を取り出しメモりだした。 ……音楽用手フェチ……? 小首を傾げていたら、症状の説明をはじめた。 「これはね、ガングリオンって言って、ゼリー状のものが……」 ……ガングリオン。 ガングリオン!!?? 私の中にサンライズの制作したようなアニメがグルグルと回りだした。サンライズじゃないかも。ああ、でも兎角大きいんだよ、ガングリオン。人間が乗り込む型の機械なのね、ガングリオン。強いの、絶対。 そんなくっだらない事を考えていたら、目の前に消毒薬があった。 え!? そ、そんないきなり。 何も言わずにやるなんて。 酷いわ、まだ日も暮れていないし、人目もあるし。 ジョーク言ってる場合じゃない。 あっさりヨードチンキを患部に塗られている。 もうパニック。 「や、今日ここで? 今直ぐやるんですか?」 そういえば昔ささくれが腐れて、整形外科で何も言わずに突然爪剥がされた過去が強烈に蘇った。フラッシュバックってヤツだよ。注射針に見えなかったもん最初。爪剥がすハサミに見えたもん。 とかフラッシュバックに浸ってたら患部のすぐそこに注射針があった。 ぎゃあああああ。 声にならない悲鳴を上げる私。 後にも先にも思うのだが、これで目の前が可愛い白衣の天使とダンディなオジサマ医師で無ければ確実に叫んで抵抗して逃げ帰っていた。 ぶっすりと太々とした針を刺される。 「大丈夫?」 誰か訊ねてきたが、もうそれが男の声か女の声かも判別不明。 最初はそりゃ無いよ、と思っていたが、だんだん そりゃあないよおおおおおお と叫びたくなるくらいの長さになってきた。ずっとずっと針を刺したまま、ぐりぐりっぐりぐりっと幾度も神経が集中している箇所を混ぜ返すのだ。 多少の針は平気な私でも、足の方から感覚が麻痺してくるのが分かった。 これは痛い。 私は痛さってもんから逃げる方法は知ってる。痛くないと言い聞かせるわけでもなく、乖離させてしまうとかいくらでも方法はある。でも全神経集中させて逃げたってこれは駄目。無理。神経鷲掴みにされて、精神逃げられるかーいっ! 暴れはしなかった。体硬直して動けなかったとも言うし、ここで下手に動いて手を痛めたら、この医者選んだ意味が無い、と腹を据えたこともあるし、素直にびっくりしすぎたのもある。 長く感じられた時が終わり、針が抜かれた。 ぺったんと患部に絆創膏が貼られる。 ……絆創膏って。絆創膏ってあんた。これだけ痛かったのに絆創膏? 一応医療用だけど絆創膏じゃあ自殺未遂した人より甘く無い? て自殺未遂が酷いんだ、そいや。筋じゃないもんね、血管だもんね。そりゃ止めないと死ぬわ。 そして神経の集中した箇所を針でウリウリされた私はといえば。 取りいだしたる我がガングリオン君を見せられていた。 本当にゼリー。 最初自分のガングリオン君だって分からなかったよ、あんまりにも普通のゼリーで。なんで私ゼリー飼ってんの? いつの間に入ったんだ、ガングリオンゼリー。そんなにゼリーを食べた覚え無し。 とか言っててすっごい情けない理由で出来るヤツだったら俺様すっげーかっこわるいぜーガングリオン。 そしてオジサマは事を終えると、後のことは他の者に任せた、と言い放ってあっさりと去っていった。 切ない。 嘘。 次回約束をしたサ。 「ガングリオン、ブドウ腫っていうのもあって、たくさん出来ている場合があるから、様子を見たい」と言われ。 イヤだなあ、ガングリオン葡萄。 去っていったドクター。 あんまりにもあっけなく去るので「横になって休んでいきなさい」というのを頑なに拒否してみた。本当に辛い時には大丈夫を連呼するタイプの私。ヤン・ウェンリータイプと言え。ロイエンタールでもラインハルトでも良いぞ。 それはさておき。 白衣の天使さん達があっちこっちから「大丈夫? 大丈夫?」と言ってくれる中(いつの間にか病弱キャラができあがっていたらしい。腹黒な私はノートを貸してもらいまくったハリーの気分でいた)色んな説明を受けるも、途中数度痛みの為マジで意識が飛びかける。 逃げるな、自分。 そして整形外科の待合室では、理学療法士さんたちに向けての楽しげな勉強会が開かれていた。 真面目であるべきところでは真面目なんだよ、ここの人達。
押しつけがましくない優しさとか、ゆとりとか。 日本人らしいところが、美点になるという。 諭吉万歳。 慶應大学病院お勧め。
しかし本当に整形外科は恐ろしいところじゃて。 終わったのは18時。 病院に着いたのは午前の11時。 げに恐ろしきは待ち時間かな。
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