ヤグネットの毎日
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2003年06月20日(金) 大いなる誤謬にストップを

 ここ数日、有事法制や北朝鮮問題などを中心に資料収集をしていてあらためて気づいたこと。
 一つは、有事法制の制定を民主、自由党などを巻き込んで急いだことの愚かさ。
 「基本的人権を保障することなど民主党の奮闘で歯止めをかけた」というが、肝心の「何のための有事法制なのか?」「どういう事態に有事法制が発動するのか?」この点については、ほとんど議論がされていないことだ。だいたい、有事法制の核心をなす「武力攻撃事態法」そのものが、平時では考えられない様々な人権の制約を行うものである。
 「日本が他国から攻められた場合にどうするのか?」ーー北朝鮮の一連の事態を念頭に、盛んにこうした論点が喧伝された。しかし、世界の軍事力がアメリカについで第2位という驚くべき戦闘能力をもつ日本にとって、他国が侵略するケースは考えられない。メリットがないからだ。その能力をもつ国は皮肉にもアメリカぐらいだろう。北朝鮮にはそういう侵略をしかけるまでの力はない、というのが専門家もふくめた「常識」なのだ。そうしたことが意図的にか、まったく問題にされない。
 しかもだ。いま日本がやるべきことは、「北朝鮮に攻め込まれたときに対処できるように有事法制をつくる」ことではなく、韓国の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領が来日したさいに、くり返し強調したように、平和と安全の北東アジアをつくるためにも、対話による平和的な外交努力を強めることではないだろうか。戦争によってもたらされる悲惨を国民とともに具体的に想像することこそが必要だ。

 しかも、有事法制のいちばんの眼目は、アメリカの先制攻撃による戦争に日本の自衛隊が即応できる体制づくりにこそある。アメリカ第一主義というイデオロギーが文化や経済だけではなく、軍事面でも完全に日本を飲み込もうとしている。ほんとうに、この方向に未来はあるのだろうか?
 「アメリカがいるから日本は守ってもらえる」とは、大きな誤謬だと思う。「大量破壊兵器をもっているからけしからん」といってはじめたイラク戦争。たくさんの命が奪われ、現に戦闘は続いているが、いまヨーロッパを中心に、「なぜ、いまだに大量破壊兵器が見つからないのか?」「イラク戦争は本当に正義の戦争だったのか?」という疑問の不信の声があがりはじめている。アメリカの中でも、ニクソン大統領時代の「ウォーターゲート事件」以来の、「WMDゲート事件」として大量破壊兵器は存在したのか?をめぐって、大問題になろうとしている。ちなみに、「WMD」とは、ウエポンズ(兵器)のW、マス(大量)のM、ディストラクション(破壊)のDのことだ。戦争の大義名分が完全に崩れさったあとに残るのは、かねがねいわれていた、「中東地域での石油の利権を確保するための力づくの勝負」だけ。
 まさに侵略目的の戦闘行動に日本が自衛隊もそして国民をも巻き込んで協力するーー本当にこれが、真に国際的な貢献なのか?国際=アメリカという考えでは、決して世界的な信頼を得ることはできないだろう。
 アメリカになんでも追随する日本の態度は、世界からの笑いものにしかならない。
 日本が真に安全でしかも平和なアジアと世界をつくるためにとりうる道は、アメリカへの追随をやめて、平和的な外交で積極的なイニシアチブをとり続けることだと思う。

 僕は、有事法制は日本を守るため、という誤謬、アメリカに守ってもらえる。このことが誤謬であることを国民の共通認識にすることがいま緊急に求められていることだと考えている。


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