米国発 金融危機関連情報

2009年02月14日(土) 米「底なしの危機」金融機関の不良債権400兆円超か

1、再燃・金融危機/ 進まぬ「バッドバンク」 「コスト4兆ドル」尻込み
                        2009年2月11日 毎日
2、巨額損失発表の直前、メリルリンチが賞与100万ドル超
2009年2月12日21時12分 読売新聞

 以前「米金融機関が米国を潰す」とい報道を引用したが、最近の米国発の金融危機情報に接していると「さもありなん」と思うことがある。

 その一例が米金融大手メリルリンチ支給総額は36億ドル(約3200億円)
のボーナスである。それも巨額損失を発表する直前の昨年12 月に支給しているのだ。その主な内訳は
幹部社員696人に1人あたり   100万ドル(約9000万円)
上位の幹部4人には      1億2100万ドル(約109億円)
が支払われた。

通常なら1月に支給される時期を「ひそかに繰り上げて」(同州のクオモ司法長官)支払っている。州当局は、損失公表前にボーナス支給を強行した疑いがあるとみて調査を進めるという。これはもはや、犯罪に近い行為ではないかと思う。その後1兆5000億円の赤字決算を発表し、最終的に米政府は30兆円近い不良資産の9割を肩代わりする保証制度を適用している。

 一体米国の金融機関の不良債権はいくらあるのだ。「不良資産の買い取りコストは1〜2兆円」金融機関の不良資産を米政府が買い取る「バッドバンク」構想が浮上した。しかし、直後の1月末、米ゴールドマン・サックスのリポートは米国内総生産(GDP)の約3分の1(450兆円)に達する費用が必要との試算を示して市場が震え上がたという。当然この構想は進んでいない。イギリスもこの構想を持ったのであるが、巨額資金が必要でたち切れになっている。

「不良資産の実態を、洗いざらいさらけだして処理を終えないと危機は収束しない」(国際金融筋)という見方は当然である。しかし、米側から明確な方針を決められないでいるのが現実なのである。

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1、世界不況:再燃・金融危機/ 進まぬ「バッドバンク」 「コスト4兆ドル」尻込み
                        2009年2月11日 毎日
「不良資産の買い取りコストは4兆ドル(約360兆円)」。金融機関の不良資産を米政府が買い取る「バッドバンク」構想が浮上した直後の1月末、米ゴールドマン・サックスのリポートが市場を震え上がらせた。リポートは、米国内総生産(GDP)の約3分の1に達する費用が必要との試算を示していた。
 ブッシュ政権は昨年10月、米金融大手9社に総額1250億ドルの公的資金を資本注入した。
 だが、実体経済の悪化で不良資産の劣化が進み、シティグループとバンク・オブ・アメリカは年明け、巨額の赤字決算を発表。両社株は歴史的な安値に急落し「存亡の瀬戸際」(米アナリスト)に立たされた。オバマ新政権は、突き動かされるようにバッドバンクの検討に入った。
 バッドバンクは金融機関から不良資産を切り離すため、市場は「抜本的な解決策」と好感した。だが、米メディアが当局筋の話として「買い取りには1兆〜2兆ドルかかる」と報道。そこにゴールドマンの試算が流れ、オバマ政権を支える米民主党も「とてつもない額」(シューマー上院議員)と尻込みした。
 昨年10月に米金融安定化法が設けた公的資金枠は7000億ドル。難産の末に成立にこぎつけたが、これをはるかにしのぐ規模。再び世論の反発を招くのも避けられそうになく、政権内の調整も難航が伝えられた。 「(災いを閉じこめた)パンドラの箱を開け、十分な資金を用意すべきではないか」。2月1日まで2日間、イタリアのミラノ郊外で開かれた先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)の次官級非公式会合で、ある出席者が米側に迫った。
 ローマで13、14日に開催されるG7は、オバマ政権の新たな金融安定化策が焦点。「資本注入という応急措置で封印していた不良資産の実態を、洗いざらいさらけだして処理を終えないと危機は収束しない」(国際金融筋)。だが、米側から明確な答えはなかった。
    *
 苦しい事情は欧州も似通っている。英政府は年明け、バッドバンクの検討に入った。昨年10月に資産規模で世界最大級のロイヤル・バンク・オブ・スコットランドなどに370億ポンド(約4・9兆円)の公的資金を投入したが、業績悪化に歯止めがかからないためだ。
 だが、1月19日に発表された第2次対策は、金融機関の不良資産に将来損失が発生した場合、公的資金で9割を肩代わりする保証制度。バッドバンクは見送られた。「即座に巨額の財政資金が必要になる」(英エコノミスト)ためとみられる。
 ドイツでも、最大手ドイツ銀行が、08年12月期決算で第二次世界大戦後初の赤字に転落し、政府は追加策を検討している。だが、バッドバンクは「納税者に不良資産の重荷を背負わせられない。銀行が自分で解決すべきだ」(メルケル首相)など慎重論が根強い。
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 金融危機の荒波が再び世界を襲っている。昨年9月のリーマン・ショック後、米欧金融機関に対する公的資金の投入で小康状態を保っていたが、震源地の米国で再燃。欧州を揺さぶり、日本の金融機関も直撃した。米政府は10日、新たな金融安定化策を発表するが、事態は打開できるのか。危機の第2波を報告する。
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 ■ことば
 ◇バッドバンク(Bad Bank)
 米国で1980年代後半、貯蓄貸付組合(S&L)の破綻(はたん)急増に伴い設立された整理信託公社(RTC)がモデル。不良資産を買い取り、財政資金で損失を埋めた。金融機関が、証券化商品などを保有したままだと損失が膨らむ恐れが大きい。完全に切り離せば、追加損失が発生しないので融資拡大が見込める。日本では、銀行の不良債権を買い取る整理回収機構が相当する。

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2、巨額損失発表の直前、メリルリンチが賞与100万ドル超
2009年2月12日21時12分 読売新聞
 【ニューヨーク=山本正実】米金融大手メリルリンチが巨額損失を発表する直前の昨年12月、幹部社員696人に1人あたり100万ドル(約9000万円)を超すボーナスを支給していたことが11日、ニューヨーク州の司法当局の調査で明らかになった。
 支給総額は36億ドル(約3200億円)にのぼり、上位の幹部4人には計1億2100万ドル(約109億円)が支払われた。通常なら1月に支給される時期を「ひそかに繰り上げて」(同州のクオモ司法長官)支払ったとみられる。州当局は、損失公表前にボーナス支給を強行した疑いがあるとみて調査を進める。
 メリルは1月中旬、昨年10〜12月期決算の純利益が153億ドルの赤字に陥ったと発表している。メリルと、メリルを買収した米金融大手バンク・オブ・アメリカには巨額の公的資金が注入されており、不透明なボーナス支給は強い批判を浴びている。
(2009年2月12日21時12分 読売新聞)



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石田ふたみ [MAIL]

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