狙いがはずれることもある。
彼女は調査文書のまとめを行うため 何千枚もの文書から手作業で統計を行うつもりであるらしかった。 なにやらとても手間のかかる作業どころか 期日に間に合うとはとても思えない。
聞いてみれば文書はpdf形式。 これをなんとかexcel形式に変換できれば あとはマクロでなんとかなるだろうと思い 試しに作ってみたらこれがうまくいったのだった。 10ページを約1秒で処理できる。 全ての統計処理を10分もあれば完了することができる計算だ。 素晴らしい。 何日もかかる作業を10分で終わらせることができるなんて 効率化も甚だしいではないか。 俺、すごい。俺、えらい。
たくさん誉めてもらおうと思い 早速マクロを彼女にプレゼントしたところ 予想通りに喜んでもらえたのだった。 そしてたくさん誉めてもらったのだった。 調子にのって「もっとなんか困ってることないの?」 などと言ったりする始末。 割と掌で踊らされているような感も否めない。
しかしながら今回は少なからず 私の数少ないアビリティを発揮して 彼女の心を捉えることに成功したと言えるだろう。 狙い通り。 ハート鷲掴み。
このように彼女も喜び 私も誉めてもらって この件はみんなハッピーで終わった かに見えたが実は
マクロの名前を なにか個性的で面白いものにしよう!と考え 「蝶々婦人3号」と命名し デカデカと明記したことについて
「なにこれ。人前で使えないじゃない」
といったコメントしか貰えなかった事は 少し切ないのだった。
実はそこが一番の狙い所だったんだ。
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