ここんとこの円高のおかげで薔薇が安いのはありがたい
先だって読了した「傾く滝」(杉本苑子著:講談社文庫) 初めて読む作家でしかも長編だったのだけど、 話の内容のせいなのか、文章が肌に合ったのか、一気に読んでしまった。
この本は、しまさんが薦め貸してくださったもの(結局頂いてしまったのだが)で、 「(あたくしの)おっしょさんが出てるから」が、その理由。
もちろん、今の本人が出ているわけではない。
この本は、 大名題の家に生まれ、類まれな美貌で「江戸の飾り海老」「江戸の華」と云われ、 絶大な人気のうちに謎の自害をした八代目市川団十郎が主人公。 水野忠邦の天保の改革あたりのお話。 遠山の金さんや妖怪鳥居忠輝など、まげではおなじみの名前もさることながら、 歌舞伎がメインだけに、主役はもちろん今活躍している歌舞伎役者がずらりと登場している。
もちろん、今ご活躍中のご本人ではない。
が、しかし「団十郎」だの「玉三郎」だの「勘三郎」だの書かれていると、 脳内映像では、今の当人の顔が浮かび、 「松本幸四郎」と書かれて、先代を思い浮かんでしまったり、 吉右衛門がいないのは残念と思ったりするも、 書かれていることが今の様と合致するから驚き。
うちのおっしょさんなんざ、正に本人出演か?! と思わんばかり。
嬉しいやら驚いたやらで、そのページをコピーして先日お渡したら、 本人も驚いて喜んでいた。
芸風をもあらわす名前が百年以上も脈々と続く日本独特の芸能の楽しみ方、 こんなのもありにする。
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