ここんとこの円高のおかげで薔薇が安いのはありがたい
今回の京都旅行の目的は、上げ浚い なのだ。 発表会のようなものなのだが、もともとそうなのか、今回がそうなのかは判らないのだけど、何やらすごいことになっているらしいと感じたのは、会場である料亭の名前を聞いて、ネットで調べた時。
一体いくら掛かるんだ・・・?
と 正直、費用のコトを聞くのが怖かった。 まぁ、お陰さまで椅子を質草にすることなく、色々策を練ったり、助けてもらったりして、そこら辺のコトは無事に解決。 昔から そういう金運なのだよね。決して貯金は出来ないけど、必要な時に必要な分だけやり繰り出来るって。
ってことで、前置きはこれぐらい。 行った時期が時期だけに、上げ浚いだけでなく他のコトも楽しめたので、 食べ物編と一緒に書き綴る。
・都をどり 去年に引き続いて二度目の鑑賞。祇園の芸妓・舞妓の女性版歌舞伎ってところ。地方(じかた:演奏をする人のこと)も統べて女性。京都の四季を京舞で表現。最初に揃いの着物をきた舞妓たちが一斉に出てきて舞う様はそれだけで、愛らしい雅びさがあふれている。わぁあっ!と客席からも一番目の歓声があがるのもこれ。今年は、時節なのか橋弁慶も演じられた。幻想的で綺麗だったのが、源氏物語の一節を演じたもの。薫の君と浮き舟の・・・ってなことぐらいまではわかったのだけど、兎に角綺麗綺麗。あとで聞いた話、この京舞の井上流ってのは祇園の外へは出さない流派なのだそうで、数ある舞の流派でも独特の仕草をするらしい。ま、京都で開催される他のをどりを見たことがないし、日本舞踊にはとんと暗いので、「ほほう」ときくしかないんだけど。 舞台は一時間で終り。二度目のせいか、あっという間に感じた。
・小鼓 先斗町で飲んでいる時、多分アタクシがおっしょさんに「たけぞが鼓のかけ声をしたがっている」なんてことを云ったんだと思う。あの、能や歌舞伎で、いよオオオオオといってるのがそれ。 時代劇では、御家人斬九郎で母親麻佐女が、空腹だったり満腹だったりすると打っている。 小説では、山本周五郎の鼓くらべが有名。 の和楽器。 「(鼓が)あるから試しに打ってみたら?」と、お姐さんががさごそと鼓ケースを出してきて、俄に稽古が始まった。鼓の持ち方・打ち方をおっしょさんが丁寧に教える。お三味が専門なのに、鼓も教えられるなんて、つくづく器用な方だ。最初はぺちょっとした音しか出なかったのが、幾度か打っているうちに、ぽん!と音らしいものがするようになった。打ってるたけぞ氏がとても嬉しそうな顔をして、教えているおっしょさんも楽しそうで、教え方にも熱が入る。そこそこの音が出るようになってしばらく、居たメンバーが順番に打たせてもらったのだけど、アタクシは、明日の上げ浚いに響くとまずいのでと 打たせては貰えなかった。 翌日、上げ浚いが終って先斗町で飲んでいる時に、また稽古が始まった。筋がイイだの、嬉しそうな顔がイイだの外野がやんややんやしている中、たけぞ氏とおっしょさんが真剣に稽古をしている。時おり、お姐さんがポイントを指摘してあげたりで、みっちりと1時間ぐらい打ち続けていた。普段のアタクシの三味の稽古だってそんなに長くはないのに!!最後の方になるといい音が連続して出るようになり、本人もまんざらではない様子。おっしょさんが、次の稽古にはたけぞ氏を連れてくるようにと。やる気があるなら知り合いの人を師匠として紹介してくださると。 今のトコロ まだ本気。さてさて、どうなることやら。
・上げ浚い 兄弟弟子の一部で上がった音曲のお浚い会。 たまたまその模様をビデオカメラ(後にDVDにしてもらえる)に収められることとなり、楽しみ倍増。 カメラの準備やら着物の着付けもあるので、早めに料亭へ行ったらめちゃめちゃに早過ぎた。が、嫌な顔一つされず、部屋へ通される。鴨川を眺められる大座敷。 金屏風に緋毛氈。もっとこじんまりしたものを想像していたので、吃驚していると、上げ浚いは大概にそういうものらしい。 三味線の準備をしていると、着付けをしてもらう番になる。 足袋を履き、着物用の肌着を身に付け、長じゅばんを羽織った途端にぱたぱたと二人掛かりであっという間に着つけてもらう。 着物は、去年海老蔵襲名の時に着ていたものと同じもの。今まさに季節柄ぴったりなのだそうだ。 ふっふっふ 大和撫子一丁上がり。 おっしょさんから「にごちゃん、別人みたいだねぇ」とのお誉め?の言葉を頂いたので、「もちろん、別人でございますことよ」と返答する。減らず口の弟子である。 そうこうしているうちに準備が整い、会が始まる。 足が痺れる。なんとか誤魔化す。 前日の稽古で引っ掛かった部分がやはり思い出せない。譜面も頭に浮かばない。 トイレに行きたくなる。行く。着物がやや着崩れた様な気がする。 皆 緊張してそうな感じ。あたしもそう。 自分の番になった。 ちょんと座ったら、もう一枚滑り止めがいると云われた。立ち上がって取りに行く。笑いが起こる。お端折がめくれていることに気が付く。笑って誤魔化しながら直す。座る。座り方も位置も不味いらしく、注意を受ける。また笑われる。「妙に笑いが起こってるんですが、どうでしょう?」と小声でおっしょさんに尋ねると「気にしないでいいから、音を出してみなさい」と注意を受ける。音を出す。結構いい感じなのだけど、ややずれている。三味線を取り上げられる。おっしょさんが音を直す。再び三味線を抱えて試してみる。いい音が出る。調子もあっている。いつでも始めてイイと合図をもらう。 弾きはじめる。 新しいバチが引っ掛かってしまうのだけど、おっしょさんに合わせて弾くとやっぱり気持ちがいい。昨日引っ掛かったところはクリアしたのだけど、他で数カ所間違えた。手は止めなかったけど、顔が上がって目が泳いだ。たけぞ氏はそれで判ったらしい。それはそれで、緊張も注目も心地よく、終ってしまうのが惜しいぐらい。(おっしょさんにそれを報告したら、次からはアンコールを頼んでもいいとのこと)終った途端に、拍手をたくさん頂き、沢山誉めてもらったので、これはまたお世辞かなにかだと思っていた。後で、MDに録音していたのを聴いたら、自分で思っていたより不味くない。あの拍手とお言葉は正当なのね。うしし。 でも、次は演奏する姿も凛としたものに。もっともっと粋に格好良く!と思ったのである。
まずは、着物に慣れること!
だな。
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