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気まぐれ日記 DiaryINDEX|past|will
もう、お盆なんだと思うこのごろ。時が経つのは早い。 旅芸人たちが奏でる演奏により、皆が皆眠りについた。子守唄にしては少しやかましいにも関わらず、強制的にまぶたを下ろせさせた。 「おやおや、皆さん、眠ってしまいましたね」 馬車も止まってしまっていた。御者も馬も眠っていた。旅芸人たちはそれぞれ手を止め、楽器を置いた。 「人間はこうも簡単だからつまらないが」 「手っ取り早く食う事が出来る」 「では、いただくとしようか。奴らの記憶を」 「では、いただくとしよう。彼らの血を」 「いただきまーす。肉、目玉、内蔵!」 「骨! 早く骨よこせ!」 記憶を糧にする魔族、血を糧にする魔族、肉を糧にする魔族、骨を糧にする魔族。魔族は様々だった。 「どれからいく? 一番若そうなヤツは?」 「これ、コレだ! まだ子供だ」 「やわらかそうだな」 「うまい記憶を持っているといいな」 四人が目を向けたのは、アニムだった。 まずは、記憶を糧とする魔族がアニムに襲う。死んでしまってからだと記憶を食べる事は出来ない。必然的にその魔族が一番となるが、それを咎める魔族もいない。 「うっぐ......! しまった、エルフだ。ヤツは、エルフだ!」 「なっ! エルフだと!」 「なんでこんなところにいるんだ!」 「エルフなんぞ食われたもんじゃない!」 アニムにとってどうでもいい記憶を少しばかり失っただけで彼は助かった。 魔族にとって、エルフは不味いとされる。血も肉も魔力もすべて不味いとされている。記憶すら不味いとされた。例外として、彼の感情を美味いとする魔族もいる。とにかく、エルフを好んで食する魔族がいたら、それはかなりの物好きとされる。
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