|
気まぐれ日記 DiaryINDEX|past|will
突然わいたフレーズ。 虎は山の神の庵を目の前にしている。 「虎か。珍しいな」 神は庵の中から言った。 「山の神は人を嫁にとるのか?」 「ああ、そうさ」 庵の扉が開いた。中からは髪が伸びたぼさぼさ頭の少年が出て来た。 「人の娘はかわいいからな。ほら、この娘なんかが俺のお気に入りなんだけど」 庵から小さな少女が顔をのぞかせた。 「あ、虎......」 見ると、商業隊が連れていた子供たちの一人だった。山の神が木の実を渡すと娘はそれを喜んで口に入れた。 「他の人たちはどうなったんだ?」 「庵に閉じ込めているよ」 悪びれた様子もなく神は言った。 「出来れば返してもらいたい」 「出せばこの娘を返せとうるさいだろ? やだね」 「それでは困る。中には私の旅の仲間がいるのだ」 「へえ、人しかいなかったけど」 「私の仲間は人だ」 「面白い虎だ。さきほどから気になっていたが、人の言葉を操っている。誰に教わった?」 「チャーミグだ」 沈黙。 山の神は笑いもしなければ怒りもしない。ただ、黙っていた。 「チャーミグは元気か?」 「亡くなった」 「そうか、人として過ごしたのか。それにしても、物好きは変わらなかったか」 山の神が笑い出した。
|