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気まぐれ日記 DiaryINDEX|past|will
私信です。 「ごめんください」 彼女はそっと宿屋のドアを開けた。 「こんな遅くにお客さん?」 「お部屋、空いてますか?」 「ええ、空いているけど。ただ、もう食事はだせないの」 彼女は一瞬残念そうな顔をした。 「あの、虎もいいですか?」 前の港町とは違い、この漁村は静かな夜を過ごしていた。あの時は嵐だったせいもあるが、怖いほどの静けさだった。ただ、さざ波の音が絶えず聞こえた。 宿には馬小屋や納屋などなく、虎は部屋で泊まる事になった。言葉を話す虎に驚きもせず、部屋を貸した。 彼女はその夜、さざ波を聞きながら眠った。最初は耳についたが、次第に慣れてきた。
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