気まぐれ日記
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なんとなく、ぶらっとズボンでも買いに行きます。 それと、無料本とかも作るから。
ステルブ、それが俺の名前だそうだ。 どうして自分が記憶を無くしたのか分からない。 一年前、この病院の近くで倒れていた。ウォルティアによると、その日はとても霧が濃く俺が倒れているそばまで近づかないと分からなかったそうだ。 ウォルティアは出勤中、俺を見つけ助けてくれた。さっぱり記憶のない俺を励ましてくれた。ヴェールと名付けてくれたのも彼女だった。 そこに、俺を知る男が現れた。レイム、と名乗った。俺の幼なじみだと言う。それが本当か、どうかわからないが嘘をついている眼ではないのは確かだった。 「お前、本当に記憶がないんだな」 「ああ。頼む、教えてくれ」 「お前は......」 レイムの話によると、俺は故郷から飛び出したらしい。よくある若者の発言だと彼は言った。 「馬鹿だよ。一旗あげてくるって故郷を出て、その様だからな」 「どういうことだ?」 「さあな、お前の考えている事だからな。どうしたかったまではわからない。大半の意味は富か名声か、だろうけど」 レイムはつまらなそうに言った。だんだん彼の顔が沈んで、険しくなる。 「マルジーリィ......マギーがどれだけ心配したと思ってんだよ」 マルジーリィ、駄目だ、思い出せない。 「彼女は......もう......」 全く思い出せない。目の前にしているレイムのことすら思い出せないでいる。そして、マルジーリィとは誰だ? 「まぁ、いい。記憶喪失のお前に言っても無駄だよな。そのかわり、記憶が戻ったら殴らせろ」 「頼む、私を連れて行ってくれ」 「はぁ? 悪いが、記憶喪失のヤツを連れて行く余裕はねえ!」 「そう、言わずに頼む」 「......連れに相談してみる」 そう話している時に、この病院に事件が起こっていた。
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