気まぐれ日記
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「おはよう」には早朝から働く人への尊敬をこめて、「こんにちは」には今日一日を無事に過ごす祈りの意味があり、「こんばんは」には火事などの災難がないように神様にお祈りする意味があるそうです。 ちょっと、いい話じゃないか? 何気なく挨拶しているけれど、そんな意味があるなら積極的にいいたいですね。
中央公園前、そこに馬車があった。そして、御者が一人、ヘネシーとイーリスがいる。 「よう」 俺は片手を上げて近寄った。 「今日は一日、頼むぞ」 と、ヘネシー。その腰には大剣が差してある。昨日は細身の剣だったが……。イーリスはぽそりと「おはよう」とだけ言った。こちらは武装しているような感じはない。 「じゃ、行こうか?」 フォーランズの街を南門から出る。そこから馬車でしばらく行くと、目的地に着くのだ。目的地は何とかの屋敷だっけ? 馬車に乗る。三人も乗るとさすがに狭い。積荷はなかった。 「? 積荷は?」 「大丈夫だ。ある」 と、ヘネシー。十分ほどで南門を抜ける。外はいい天気だ。馬車の隙間から光がたまにこぼれる。ヘネシーとは少し話をする。彼女はあまりフォーランズを出ることはないようだ。興味深く他の国を聞いている。たまに彼女が質問する。たとえば「もう、ジョウロフェンツァは涼しいのか?」とか、「ミレンディのチョコレートの新作は?」とか。イーリスは聞くには聞いているがやっぱり話さなかった。だから、 「ここの王子は無口と聞いたけど、あんたよりはしゃべるんじゃないか?」 と言ってやったら、ヘネシーは大いに笑った。
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