気まぐれ日記
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自分の文章、なんか台詞から始めるのが多い気がする。いろんなのを書こうと思っているので気をつけてはいるんですけれどね。 で、今回はその台詞から。なんか、この台詞が頭に浮かんで離れません。
「貴様がグオンだな」 一国のお城が、これでいいのか? いわゆる賊というものが入り込んで、一国の王子とその家庭教師(のようなもの)兼軍術家に迫って来た。イーリスはグオンに目を向けた。無口な彼は目でものを言う。 「そうだが、ご用件は?」 「……」 グオンの対応は物腰柔らかである。その理由は、入り込んできた賊が女だからというごく単純な理由。イーリスは、またかという顔をした。これが、もし男であれば、即刻兵が飛んでくるのだが……。もはや、グオンの命で、女には手を出さないのである。本当に、これでいいのか? 一国のお城が。 「よく、わかったね」 イーリスはぽつっと言った。 その言葉の意味がわからず、その賊は声を上げる。 「あったりまえじゃない! 見りゃ、どっちがグオンかなんてわかるわ! しびれるくらいの美形だっていうからね」 「違う」 「何が違う?」 「解説しますと、今ビアソーイダ王女が留守ということがよくわかったな、と言っているんですよ。お嬢さん」 イーリスの言葉は必要とする部分まで省略されるため、その言葉の意味はグオンとヘネシー、彼の両親と長く務めている城の者くらいにしか通じない。 「その王女様がいるにしろ、いないにしろやることは同じだ。グオン、お前の血をもらう」 二人は顔を見合わせた。首をかしげてそれから賊を見る。 「なんで?」 イーリスが尋ねる。 「なんでって、グオンは不死と聞いたんだ。だから、その血を飲めば不死になれるって……」 イーリスが笑い転げた。グオンは少し困ったような顔を作り、賊に伝える。 「お嬢さん、残念ながら私の血はそのような効果はありません。でも、もしその効果があれば私はお嬢さんのために分け与えましょう」 更にイーリスが笑った。 「そんな、嘘だ!」 「本当の話です。それに、不死などつまらないものですよ」 グオンは存外楽しんでるじゃないか、とイーリスは言おうとしたが、笑いすぎで苦しく言葉にならなかった。 しゅん!
賊の手からナイフが落ちた。後ろから柄で殴られ、賊は床に伏した。 「大丈夫か? イーリス」 剣をすばやく鞘に収めてヘネシーが賊を羽交い絞めにする。 「お帰り、ヘネシー」 「何があったんだ?」 「後で説明します。彼女を解放してください」 と、グオン。 「なぜ、そうもお前は女に弱いのだ? まあ、理由も知らずに殴ったのは悪かったが……」 彼女はナイフを持っていた、というだけで動き、賊を制した。ビアソーイダ国の第一王女にして、剣を使わせたらビアソーイダ一とされるもののその実力は定かではない。もしかしたら世界一かも、とささやかれている。実際、ビアソーイダの王族は千年に一度の割合でそんなのが誕生するとされている。だから、イーリスは賊がヘネシーがいない隙を狙ったのかと思った。
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