気まぐれ日記
DiaryINDEXpastwill


2006年02月10日(金) 音信不通

 なんです、うちの妹。(いやね、なんかごたごたしたことがありまして)
 で、ひょっこり訪ねようかと計画。ちょうど、祭りですからね。
 8丁目に足湯なんてなのあるんで、行って見ちゃおうかなー……。



 食堂。何人かのウォンテッダーがいるが、閑散としている。夜、店を開けることが出来ず、商売にならないと店主が嘆いていた。
 「あの、すいません」
 「なんだい、嬢ちゃん」
 フレクアのような年頃の少女がウォンテッダーにいないわけじゃないが、彼女の育ちのよさと見た目からそう見られない。
 「最近、この町でうろつく魔について、何か教えてください」
 「嬢ちゃん、ウォンテッダーかい?」
 店主が笑いそうになり、そばにいたウォンテッダーが噴き出す。彼女は気にせずに続けた。
 「はい」
 「もしかして、役所の依頼を受けたのかい?」
 「いえ……ただ、仲間がそれに巻き込まれて眠ってしまったのです。何か、助ける方法がないかと探してます」
 「あいにくだが、眠ってしまった者は死んでも起きん。病院へ行ってみな」
 「……行きましょう、ゼデュー」
 「はい」
 フレクアもゼデューも期待していたわけではないが、これほどまでに情報がないことにがっかりした。言われた通り病院に向かう。
 その魔と戦うには、どうしたいいのだろうか?
 と、フレクアの中で考え始めていた。相手は魔族かもしれないのに。
 「ねえ、ゼデュー」
 「なんですか?」
 「魔族と戦うには、何が必要?」
 「魔族に対抗する武器、魔法です」
 「でも、ないわよね、私たちには」
 「でも、まだ魔族と決まったわけじゃありませんよ」
 「……」
 町の人に聞いて病院に到着する。ここに十数名のウォンテッダーたちが、眠りにより入院していた。医者に魔についての聞いても首を振るばかりだった。眠りながら衰弱し、餓死する。その眠りの原因は不明。
 「お嬢さん、ご兄弟は?」
 「たくさんいますけど」
 医者の一人が首をかしげて聞いてきた。
 「その中で近いのは……」
 「双子の兄がいます」
 「では、ちょっとこちらに」
 もしかして……。嫌な予感がする。医者に案内され通された病室。そこに数名の患者がいる。しいん、と静か過ぎるほどの病室。
 「に、兄様……」
 そこに、彼女の双子の兄が眠っていた。
 「似ていると思いましたが……。やはりご兄弟でしたか」
 「……」
 フレクアが、がくりと膝を落とした。慌ててゼデューがそれを支える。
 「まさか、兄様が……」
 「すまないが、助けられるかどうか」
 フレクアは何も言わず、病院を出た。ゼデューは彼女の代わりに、医者に礼を言った。そして、今後も看病もお願いした。
 宿でまだ泣き止まないフレクアにゼデューが言う。
 「フレクアさん、しっかりしてください」
 「ゼデュー……?」
 「まだ、助からないと決まったわけじゃありません! いいですか、今夜、僕が退治するといいます」
 「それで、どうするの?」


草うららか |MAIL

My追加