気まぐれ日記
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数時間で5センチは積もっている。雪。 ついに積もった、でもこれからまだまだ……はぁー、という季節。降っているときの方が温かく感じるのは何故だろう。 でも、明日の心配をしないだけでも楽だわ……。
分身が襲いかかる。しかし、ブロードとの間に何かが入ってきた。 「はん、アンタ、魔族なのにこんなのも避けられないのか?」 「きゃあっ!」 スノムウェン分身の腕を切り飛ばす。腕を切られた分身は逃げようとするが、その先に待ち構えられていたロセウに止めを刺され、消えた。 「よう」 スタウトは、片刃の剣を鞘に収めた。ロセウがため息をついている。 「お前ら、手を出すなって言ったじゃねーか!」 ブロードが呆れながら怒鳴った。 「手を出す、ださねーは俺たちが決める」 ロセウがスタウトを殴る。 「お前が、だ。だいたい少し俺が遅れたらあの魔族は切れなかったわい!」 「いってーな。間に合ったからいいだろ!」 「ああ、そうだ。俺が間に合ったから良かったんだ! でなければお前のせいで今頃死んでるわ!」 「あんたら、本当にいつもそうなんだな」 「お前たち、死ぬか止めるかしないと本当に殺されるな」 と、樹理も呆れながら言う。 「それにしても、だ。スタウトと言ったな、いい腕をしている」 樹理はスタウトの手をとった。 「なんだ? 嬢ちゃん?」 「お前の剣の腕、大したものだな」 「まあ、それがとりえだからな」 と、スタウト。 「バルクのおっさんの孫なら、まあ考えられるな」 「じいちゃんのこと知ってんのか?」 「ああ」 「じいちゃんは俺が小さい頃に死んだからあんま覚えてないけど、強かったんだろ?」 「まあ、むちゃくちゃなおっさんだったけど、おめえほどじゃねーな。お前のじいさんは、もう少し考えていたな。だから、もう少し落ち着いて行動しろよ」 「……じいちゃんの言葉として受け取っていいのか?」 「そうしておけ」 樹理はまだスタウトの手をとっている。 「なんだよ、まだなんか用か?」 「少し、その腕貸してくれ」 「はあ?」 樹理はその手を放す。開放されたスタウトの手が重くなっていた。 「なっ!」 「その左の手の分の剣の腕を借りた。覚えておけ、しばらく無茶はできないはずだ」 「はいぃ?」 「ちょうどいいだろう、そのエルフもお前の行動に迷惑しているようだし。しばらく、そうしておけ。そのうち返してやる」 樹理はそう言って笑った。 「ジュリちゃん、小技が多いんだね」 「まあ、いろいろ」 しかし、喜ぶはずのロセウはあまりいい顔をしていない。 「どうした?」 「いや、コイツなら絶対無茶なことやる、絶対……」 「……それもそうだな。すまなかった。なるべく早く返してやるから。それまで、どうにかしてくれ」 樹理は平然とロセウに言って、次の場所へと向かった。
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