気まぐれ日記
DiaryINDEX|past|will
後で悔やむから、後悔。 友人は、最初から欲しいものが入っていないガチャガチャに小銭をつぎ込んだという。 私は、この無節操な日記をどう編集しようかと悩んでいる。 とりあえず、明日は受け取った酒バトンの回答をしようと思っている。
「ああ、それにしても。こんな気持ちになるのはリースリーズのせいだ」 と、ブロードはテーブルに頬杖をついてため息をついた。 「そうだな。あやつはいらぬことまで思い出させてくれる」 彼らは自分たちの過去をリースリーズに見せられた。エルフにしても、魔族にしても、それは思い起こすのに苦労するほどの昔の話だった。そして、懐古の情に捕らわれた。 「もう、寝る」 まだオレンジは残っていたがブロードは立ち上がった。 「また、明日な」 「ああ、明日。お休み」 アニムが手を振った。まだ残るつもりでいるらしい。 ブロードは部屋に戻るまでは黙っていた。部屋に入ると樹理は頭から毛布をかぶって丸まっていた。 よっぽど、悔しかったんだろうなぁ。 口ではかなわないと言っていたが、圧倒された屈辱が彼女に残っている ブロードもまたベッドに入って横になる。有無も言わさず、懐かしい思い出を見せ付けられた。そして、それに抵抗できない自分。悔しいのは樹理や自分だけじゃない。アニムもうそうだろう。 まだ幼い弟、両親、そして自分。 楽しかった。できればずっと浸っていたかった。それが、記憶からむりやり引っ張り出されたものでも。ブロードは頭を振ってその考えを払った。 いっそ、人間の頃の記憶はなくなってしまったほうがいい。 とまで、考える。だが、それも頭から払った。 「はっ何考えてんだ、俺は」 しかし、と彼は思った。 「オフィーリス姉さん、なんていう奴をリストに載せたんだ?」 リースリーズは最後まで相手にしたくない、と彼は思った。
|