気まぐれ日記
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2005年09月12日(月) 片付け物

 机の回り中心に片付け物をした。よくもまあ、こんなにガラクタばかり集めたな、と。昔撮ったプリクラとか、キョロちゃんスタンプなどなどがごちゃごちゃ。、あと、おみくじの縁起物とか(福禄寿・大黒天・熊手・銭亀と金に関するものばかりあたる)、全プレで届いたものとか、ポストカードとか……。整理し切れなかった。頭痛くなって……。(逃げた……)



 「で、婦長。父が夏目君を連れて行ったんだね」
 森が患者のカルテを見ながら、そばにいる婦長と目を合わせずに話しかけた。
 「はい」
 婦長も、目を合わせずに返事をする。
 「ありがとう、婦長。正直に答えてもらえてうれしい」
 「私は、副院長の味方ではありませんが、患者の味方ですから」
 「厳しいな」
 「ええ、副院長のなさることも犯罪に近いですから」
 「まーね。それは認めるよ」
 「手の早いところは」
 婦長がそこで、言葉を切り、森が続ける。
 「父にそっくりだろ」
 「ええ。副院長、何を考えているんですか?」
 「この病院を潰すことだよ」
 さすがに、婦長は呆れたような驚いたような顔を森に向けた。森は笑っていなかった。冗談ではないことを彼女に伝わった。
 「夏目君、どこの病室にいるの?」
 「すいません。そこまでは……」
 「いってくれるかい?」
 「わかりました。私は、患者の味方ですからね」
 「ありがとう。助かる。本当は私が父の援助をすればいいことなんだけどね。そうすれば、夏目君を見捨てることになるだろうから……」
 「副院長、あなた……」
 それで、罪滅ぼしをするつもりですか?
 言葉がでかかったが、森がさえぎった。
 「婦長、そうじゃない。私はね、やりたいようにやるだけ。それに、夏目君は死なないよ」
 「はあ?」
 婦長が不思議そうな顔をする。
 「彼には、妖精の女王がついているから」
 「……」
 「でも、急いで欲しい」
 「わかりました」
 婦長は診察室を出て行った。そして、院長室に向かう。
 院長室をノックして、ややして返事がある。いつものことだと思い、しばらくしてからドアを開ける。
 「珍しい。梶元君か? 何のようかな」
 「それよりも、院長。いっそ、隣に寝室を作ってはどうですか?」
 「息子のヤツにも同じことを言われたよ」
 似たもの親子だ、とひそかに呆れる。それを顔には出さないように彼女は笑った。
 「それよりも、院長。先日から患者が消えることがありましてね。それも、助かる見込みが無い患者ばかり……。長い間診て来た患者も中にはいましたが……何をしていらっしゃるのですか?」
 「君は、参加するつもりがあるのか?」
 「できれば」
 「まあ、婦長がつけば他の看護師も安心できるだろう。ついてきなさい」
 院長が立ち上がり、歩き出す。院長室の奥にエレベータがあった。誰もその造りを知らない。
 「これ、隠してあるの、知っていた?」
 「いいえ」
 「だろうね。息子も知らんだろう。これは実は趣味で作っただけのものだった。だから、こうして、使うとは思っていも見なかった」
 「趣味?」
 「隠し階段、隠し扉。隠し部屋。小さい頃はあこがれたものだ。それをふと思い出して取り入れた。それだけのことだった」
 院長は無邪気に言った。
 「実際使うとなると、厳しいものがある」
 それは、自分への厳しさなのか、患者への厳しさなのか、婦長にはわからない。でも、何をしているのか予測はできていた。


草うららか |MAIL

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