気まぐれ日記
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友人に、「猫のTシャツ」を頼まれました。なんか都会では、ものっそい人気のあるのだとか。うちの地元は穴場だわ。しかし、サイズがなかった。(それでも、一着はゲット)
夏目は退院して、久しぶりに部屋に戻った。元気そうにしているが、セリナは、退院したからといって彼の体が万全では無いということに気づいていた。 「井上さんところでうまくやっていて良かったよ、セリナ」 「はい、とても良くしてくれました」 退院する一日前にセリナは部屋に戻って掃除をしてくれたおかげで、埃など気にすることがなかった。 「セリナ、ごめんな。心配かけて」 「でも、十真様、ご無理は駄目ですよ。私がいるんですから」 「そうだね」 「はい、私はもともとそのために作られたのですから」 でも、もう助かる見込みはない。 夏目はそう思う。今から自分の遺品の整理をしておいたほうがいいのかもしれない。 「あの、十真様?」 「なに?」 「今度、また一緒に動物園、行きましょう」 「えっ? 動物園?」 「いやですか?」 「ううん、いいね。セリナは動物園が好きなの?」 「はい、大好きです」 「そうか。もう少し、涼しくなってからの方がいいな」 「はい」 彼がセリナを連れて行って楽しんだのは動物園だった。もう、一緒には行けないかもしれない。体調が良いうちに一度くらい行きたい。 電話が鳴る。セリナが出た。 「井上さんです」 受け取るとまず、退院おめでとう、と言ってくれた。 「ありがとうございます。あと、セリナのことも……」 「それよりも、夏目さん。約束どおり退院祝いしますよ。今晩迎えに行きますからね」 井上はそれだけ言って電話を切った。時計を見ると仕事中の時間だ。わざわざこれだけのことを言うために彼は電話をしたのだろう。 「セリナ、今夜は井上さんところに泊まることになりそうだよ」 「井上さん、張り切ってますからね」 「張り切る?」 「はい。何か、おいしいものを作るって張り切ってました」 「そう」 彼はうれしかった。でも、それ以上に、淋しく感じた。
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