気まぐれ日記
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見てきました。何故なら今日は木曜日でレディースディー千円だから。女に生まれたことを感謝しつつ、男には悪いなと思いながら見ました。 「……ちょっと、切ない」 感想べらべら言うことはできませんからね。でも、地元はもう明日で終了なんだよね。映画の出来は良いと思います。 あ、明日はもしかしたら、携帯からかも。
それにしても、夜中に患者を運ぶ理由はなんだ……。 森は疑問に思いながらも、院長室をノックした。誰だと、呼び返す声。あんたの息子の一人です、と答えてやる。ややして、入れという声がした。それだけで、女だなとピンとくる。父親の手の早さは自分以上だと思っている。しかしながら、彼にもそんなところがあるのだから、血は争えない。 我ながら、いやなとこだけ親に似ている。 森はため息をついた。ドアを開ける。 「よう、息子。何か用か?」 ディスクについている父親が軽く手を上げた。 「聞きたいことがあってね」 「お前が、か?」 六十も後半に入っている父親は、若く見える。 「僕の患者の一人が、夜中にあんたの患者を運ぶところを見たっていうでね。なんでかなと思いまして」 「ほう、もしかしてその患者、夏目君だったりしてな」 森は答えず、父親をにらんでいる。そんなことはどうでもいい、早く答えろと目で言っている。 「新しいことを初めようと思っていてね」 「新しいこと?」 「おお。お前も協力しなさい」 「嫌です。で、新しいことって?」 「お前も見たらわかると思うが、運び出される患者は助かる見込みの無い人だけだ」 「へえ、そうだったんですか」 「今の世の中に、延命というものは必要ない。だから……」 「だから?」 「他の病室に移した」 「それでも、こそこそやる必要はないですね」 「ああ、そうだとも。ただし、お前もその部屋を見てからにしたらいい」 「……大体、見当はついたからいいです。大昔なら許されないことですが。今度から、患者を運び出す際は患者全員に睡眠薬を盛ることをお勧めしますよ」 「冗談がうまいな、お前は」 「あなたほどではありません」 森は、回り右をしてドアに向かった。ノブに手をかけてから止まる。 「あ、そうそう。いっそ、この部屋に寝室でも作ったらどうです?」 「やっぱりお前は、冗談がうまいな」 何も言わず、彼は部屋から出た。廊下を大またに歩き、屋上に出た。そこで、屋上のドアを拳で殴る。 「あ、いて……」 痛さが、我を帰してくれた気がした。
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