気まぐれ日記
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また、美術館でもいこうかと思ってます。 「幻の絵本」ってどんなのだろう?
塔 十二階
そこは、白い雲海の世界だった。ただし、先ほどの世界のミニサイズ番である。 「ここ、なにかあるかな?」 タジュトは白い雲に足を踏み入れた。そして、 「きゃあああーああああ……!」 タジュトはダノたちの視界から消えた。 「どうした! タジュト! うぉわおおおおおお……!」 「風!」 「なんてこった! 二人ともどこへ」 「私たちも風に乗りましょ! そうすればダノさんたちに追いつくかも」 強い風が吹き荒れる中、シルアはダノたちのあとを追うように風に乗った。 「おい、待ってくれ!」 オードは風に乗らずに留まった。オーガの身体は重くて飛ばない。彼は、ひとり残された。 数時間後、タジュトは塔のそばに戻ってきた。 「やっと戻れた……」 続いてダノとシルアも。 「同じとこ、ぐるぐるぐるぐると回ってたよな」 「そうね……」 三人はぐったりと塔に入ろうとした。が、近くに黒猫がいた。虎ほどにも大きい黒猫が……。 「こんなところに、何故!」 シルアが驚く。ダノも思わず武器を構えた。ここでは見なかった魔物だった。そして、知る限り強力な魔物でもある。 「待ってくれ! 兄貴」 黒猫が叫ぶ。 「あなた、オードね?」 と、タジュト。ダノは武器を収めた。 「これが、魔物の特徴ね」 「ああ、兄貴たちを待っていたら、ハーピーが襲い掛かってきてな、腹いせに喰ったら虎族になっちまったんだ」 「へえ……」 「わからないで、すまんかったなオード」 「でも、変わりすぎだもの」 「しっかし、妙な特徴だよな」 「へへっ、兄貴どんななりをしていても俺は兄貴について行きますぜ」 三人は、その世界をあとにした。 「えっへっへっ、なんか拾っちゃった」 「またなんか拾ったのか?」 「でも、これなんだろ?」 「いいからとっておけよ」 タジュトはガラスの小瓶を眺めから、そして鞄に入れた。兄に言われたとおり、とっておくつもりなのだ。
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