気まぐれ日記
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はじめますか。
老人はにこにこと三人を向かい入れた。 「大したものだ。あの青龍を倒してしまうとは……。わしももう少し若かったら応戦できただろうが……なにしろこの年ではなあ」 「あの、おじいさん。この玉、何かに使えるのかな?」 「ほほう、お嬢さん。それをちょっと見せてくれんか?」 タジュトは赤い玉を老人に見せる。 「ふむ、赤い玉だ」 「見りゃわかる」 「お主ら、頂上を目指すのか?」 「ああ、もちろんだ」 「楽園のためか?」 「……」 ダノはしばらく黙った。 「いや、探究心のためだ。今はそれだけだ」 「そうか、ならこれをやろう」 老人は押入れから何かを取り出した。それは、青い玉だった。赤い玉と同じ大きさの玉で、二つは共鳴している。ダノは受け取ろうと手を伸ばした。 「と、思ったが只ではつまらん。なぞなぞじゃ。元気な人には痛い。痛い人には気持ちいいものをもってこい」 「痛くない人には痛くて……」 「痛い人には気持ちいい?」 「マゾ?」 「馬鹿もん、もってこいとゆうとるのじゃ。物じゃ物」 老人は三人を追い出す。 「なんだろうね」 タジュトは悩みすぎて目を回している。 「うーん。痛い人には気持ちいいか……」 「私はわかったわ」 シルアはにっこりと笑った。 「確か、港町で見たの。行きましょ」 「また、あっちまで戻るのか……」 シルアは金の針を買って戻ってきた。金の針は石化治療に役立つアイテムだが、今のところ石化攻撃をしてくる魔物は出てこないので買うことはなかった。 「さ、おじいさんのところへ行きましょう」 またまた老人のところに戻ると、老人は喜んで金の針を受け取った。 「おお、まさしくこれは金の針。ようやったようやった」 「でも、なんで答えが金の針なの?」 「ああ、そうか。針治療ってあるだろ。だから元気な奴には痛くて痛い奴は気持ちがいい」 「あ、なるほどね」 老人は庵から出ると、ダノたちが乗ってきた動く島の前に立った。 「あやつも倒れたというし、お主も元に戻りたいだろう」 「じいさん。何に向かって言ってんだ?」 「お主らは、この動く島がどうして動くのか謎に思わんかったのか?」 「そりゃ謎に思ったけど、行きたいとこに行ってくれるしめちゃくちゃ役に立ったからな」 「そうかそうか。お主、石だけに意志があるのか。どれどれ戻してやろう」 老人は金の針を島に刺した。島はしばらくそのままだったが大きく揺れ始めた。水面が揺れる。揺れがあ大きくなって、
ザバッ!
頭が出てきた。 動く島は、大きな大きな亀だった。 「わしの友だ。あの青龍に石にされとったんだ」 三人はあんぐりと口を開けていた。 「さてと、約束だ。受け取れ」 青い玉をダノは受け取る。赤い玉と共鳴、そして強い光を放つ。ダノの手には一つの青いクリスタルがあった。 「クリスタル。それがあれば更に塔の上にいけるだろう。お主、すまんがもう一度、この英雄たちを塔まで送ってやってくれんか?」 もちろん、と言うように一度ゆっくり頭をさげる。ダノたちは亀に乗るとゆっくりと動く出した。 「ありがとよ、じいさん。でも、俺は英雄気取りにはなりたくないんだ」 「まあ、ここではお主らは間違いなく英雄だ。受け取っておけ。この先はまた辛いことがあるだろうが、そういう覚悟はあるのだろ?」 「もちろん」 老人は、友人が乗せた者たちを見えなくなるまで見送った。
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