気まぐれ日記
DiaryINDEXpastwill


2005年02月21日(月) やとわれ女将

 月ミス。全部見てしまった。殺人起きないのに。


 洋の残りの春休みは、母親救出のために使われることになった。パグを家から出すのだが、洋はその後をついていくことにした。淋しそうにするパグは家の前をうろうろしたが、しばらくして徐々に家から離れた。その後を気づかれないように洋が追う。犬の尾行は初めてだった。
 パグはうろちょろしながら歩く。だから気づかれるのではないかと思いながら、彼は慎重に行っていた。慎重すぎて、あることに気づかなかった。
 「坊や、おとなしくしてるなら怪我はないわよ」
 背後からの声。冷たいものが首に当たった。それが何かはすぐにわかった。パグが首根っこをつままれ、車に入れられた。そして、同じく自分も。ちょうど、人通りのない道での出来事だった。


 拓馬は、そのまま警察署に向かった。もしかして家の中に盗聴器があるかもしれないと思い、直接届けることで犯人が知ることがないようにした。
 「犯人からの電話連絡もないんですか?」
 「はい。この怪文書とハンカチのみです」
 「で、問題の犬は?」
 「息子が後を追っています」
 「そんな、もし危険が……」
 その時、署の電話が鳴った。いや、いつも電話は鳴るだろうが、このときは嫌な予感がよぎった。
 「はい……えっ? なんだって?」
 「柘植、さん。あなたにお電話です」
 嫌な予感はさらに増した。
 「はい、柘植です」
 「息子も預かった。今夜十二時、町外れの工場まで一人で来い」
 妙な声が流れる。ボイスチェンジャーで声を変えていた。
 「洋まで……くそっ!」
 拓馬は唇をかんだ。
 「柘植さん」
 刑事の一人が声を掛ける。
 「これは、もはや私の問題だ」
 彼は警察署を出た。


草うららか |MAIL

My追加