気まぐれ日記
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月ミス。全部見てしまった。殺人起きないのに。
洋の残りの春休みは、母親救出のために使われることになった。パグを家から出すのだが、洋はその後をついていくことにした。淋しそうにするパグは家の前をうろうろしたが、しばらくして徐々に家から離れた。その後を気づかれないように洋が追う。犬の尾行は初めてだった。 パグはうろちょろしながら歩く。だから気づかれるのではないかと思いながら、彼は慎重に行っていた。慎重すぎて、あることに気づかなかった。 「坊や、おとなしくしてるなら怪我はないわよ」 背後からの声。冷たいものが首に当たった。それが何かはすぐにわかった。パグが首根っこをつままれ、車に入れられた。そして、同じく自分も。ちょうど、人通りのない道での出来事だった。
拓馬は、そのまま警察署に向かった。もしかして家の中に盗聴器があるかもしれないと思い、直接届けることで犯人が知ることがないようにした。 「犯人からの電話連絡もないんですか?」 「はい。この怪文書とハンカチのみです」 「で、問題の犬は?」 「息子が後を追っています」 「そんな、もし危険が……」 その時、署の電話が鳴った。いや、いつも電話は鳴るだろうが、このときは嫌な予感がよぎった。 「はい……えっ? なんだって?」 「柘植、さん。あなたにお電話です」 嫌な予感はさらに増した。 「はい、柘植です」 「息子も預かった。今夜十二時、町外れの工場まで一人で来い」 妙な声が流れる。ボイスチェンジャーで声を変えていた。 「洋まで……くそっ!」 拓馬は唇をかんだ。 「柘植さん」 刑事の一人が声を掛ける。 「これは、もはや私の問題だ」 彼は警察署を出た。
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