気まぐれ日記
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今年度はなぜか12月な監査。今日無事に終わった。
「送る……殺すのですか?」 「しっ、言葉に気をつけてください。あくまでも天に送るのです」 僧が人差し指を口に当てて、言う。神殿主は僧たちに部屋に戻るように伝える。そして、突然の来客をもてなした。 ゼデューはその来客を見ることはなかったが、この辺を統治しているお偉いであるという。 「神殿主にとっちゃ、赤子よりもあのお偉い様だよ。寄付もたくさんくれるしね」 そんなことを言った僧もいた。
八日目。 その赤ん坊は、天に送ることになった。母親から適当にごまかして赤ん坊を取り上げる。 祭壇に載せられた赤ん坊はきゃっきゃっと笑っていて、これから起こることなどまるで知らない。 「罪は、私たちにはない。この赤子のことを考えればやむ得ないことです」 神殿主の言葉は通り抜けていく。 ゼデューはぼんやりと考えていた。この赤ん坊……自分がここで殺されてしまったらどうなるのだろう。何かで読んだ似たような話では、過去の自分が殺された時点で今の自分が消える。 「では、この役目を次の神殿主である……」 現れたのは、ゼデューが知る神殿主だった。彼を首にした、彼のよく知る神殿主だ。 きれいに装飾されたナイフを持たせ、震える手でそれを握り、次期神殿主は赤ん坊の前に立った。 「神よ、この子があなたの身元へいけますよう、お導きください」 ナイフを大きく振り上げ、振り下ろした。 ゼデューは眼をつぶった。悲鳴が聞こえた。赤ん坊ではないような気がした。でも、眼は開けられない。なんだか気持ちが悪い。
気づいたら、床に寝かされていた。心配そうに僧が顔を覗き込む。 「大丈夫ですか?」 「ええ、まあ」 気絶したのは、ほんの一瞬だったようだ。しかし、彼には長い時間だったような気がした。周りはざわざわしている。 「何が、あったんですか?」 「ああ、母親が赤ん坊をかばったんだ。突然現れてね」 「じゃあ……」 あの悲鳴は、母親だったのだろうか? 「ああ、幸い、致命傷じゃなかったんだ。今、手当てを受けてるよ」 神殿主は、声を張り上げる。 「あの赤子は、母に守られ助かりました。これも神の思し召しです。ですから、あの子が大きくなったら、この神殿に迎い入れ、悪魔から守りましょう」 神様って、そんな都合よいものだっただろうか? 彼はそう思った。それでも、自分は殺されずにすんだのだから、その疑問はそのまま胸にしまった。
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