気まぐれ日記
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職場にて、自閉症の方とかかわることが多い。 職員が口で言って本人が理解しているだろうと思っても、実は理解していないのではないか、という話。 行動パターンが決まっているようで変化しているし、何をして欲しいのかさっぱり分からないときが多々ある。だから、(こっちが)理解するといっても難しい話。(あー、もうー何言ってんだかわからんよ)
夕暮れになっても、ブルーアの財布は見つからなかった。三人は市場から港の近くまで来ていた。 「あったぁ〜!」 ブルーアが声を上げた。通りの隅に投げ出されたようにそれはあった。 「あーこれで、なんとか宿に泊まれる。よかった」 彼女ははしゃいだ声を出している。ロージュはぼんやり、海を眺めていた。 「どうした? 馬鹿面こいて」 「海って、きれいだなって」 夕暮れの海は半分赤く染まっていた。空は太陽からの赤い色と夜からの青い色で分かれている。彼は、それをじいっと眺めていた。 「あああっ!」 また、ブルーアの声だった。それにロージュが驚いた。 「な、なんだ?」 「お金が入ってない……」 「どうやら、スリにすられて財布だけ捨てていったんだな」 「どーしよー」 ブルーアが情けない声で、おろおろし始めた。しばらくおろおろしていたかと思えば、ぽんっと手を打った。 「ロージュ、あなたの家は?」 「はあ?」 「あなたの家に泊めて……いいえ、しばらくやっかいになりたいわ。そして、バイトか何かして路銀を稼ぐわ」 「な、何言い出すんだ、あんたは……」 「お願い、そうでなきゃあたし……」 「少し待ちなさい、お嬢さん」 「そうだ、あんたからも言ってやってくれ」 「お前は黙っていろ」 グオンはロージュをどかしてブルーアの前に出た。 「われわれも旅に出るところです。ここに三枚コンファイア行きのチケットがあります。もし良かったら、一緒にご同行しませんか。今夜が出発なので、急なんですがね」 願ってもない幸運だった。少なくともブルーアには。 「ちょ、散歩程度じゃなかったのか? そんなこと聞いてねえ!」 「きゃあ、ありがとうグオン。遠慮なくご一緒しまーす」 「な、お前、正気か? 冗談じゃない、俺は帰るぞ!」 ロージュは逃げ出すようにその場を離れようとした。 「ロージュ。そのまま帰ったら、お前は二度とこの国から出る事はできないだろう。それに、動き出した時間は止まることはない」 彼の足が止まった。ゆっくりと二人の元に戻った。 「? 時間?」 ブルーアには意味は分からなかった。 「何であんた、そんなこと知っているんだ?」
時間が動き出した。 べグゼッドがそう言った。だが、その言葉を最初に使ったのは城に勤める医者だった。それをべグゼッドが気に入ったのか、言いやすいためか、使うようになった。 時間が動き出した。その時間とは、人間以外のものたちを示す。 だから、今の時間は魔族たちの時間でもある。 「今は、そんな時間なんだ」 そんな時間が動き出して、千年以上。まだその時間は動いている。
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