気まぐれ日記
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2004年10月02日(土)

 昔、教科書に載っていたファンタジー小説。
 結構好きな話だったんですが、先日古本屋にてその本を発見。即購入。
 「きつねの窓」の話も収録されてます。

 「じゃあ、願いを言ってみろ」
 「あなたを食べます」
 「……」
 少女が、十字架を手にしてオーフを刺した。
 「!?」
 十字架は刺さっていたが、オーフは苦しみもせず平然としている。
 「あれ? あなた、本当に悪魔ですか?」
 「うーん……実はハーフだ。俺のお袋は天使だよ」
 「はあ? うそでしょ? あたしは純粋な悪魔を召喚したのよ! それにどう見てもあなたは悪魔でしょ!?」
 「あー、悪かったな。ガラが悪くて。俺は親父似で悪魔の血が濃いからこんななりをしている」
 彼は黒い羽を見せる。母の白い羽根は受け継がなかった。アンは、落ち込んだように座り込んだ。
 「そ、そんな……せっかく成功したのに出来損ないの悪魔を召喚しただなんて……」
 「それと、アン。お前はなんで俺を食おうとしている。そんなことすんのは魔族とかと一緒だろ」
 「それは……」
 アンの家系は魔女である。もともとは薬草をつんで薬を作り、天候の変化から天気を予測したりといったことをして、村人の役に立って暮らしていた。
 「だけど、ある日教会が来て、魔女は排除されるべきだって。だから、あたしたちは戦うことにしたの。禁じていた悪魔を召喚して、その力を食べることによって力を得る」
 「……無理だな。第一俺はこんなもので死なないし」
 「だから、あなたは出来損ないじゃないの?」
 「他の悪魔がされたって、これでは死なないだろ。第一これに意味があるのか?」
 「……わかった。今はとにかくあたしを助けて。もう、そこまで追っ手が来ているの」
 「わかった。とりあえず、ここから出よ……」
 階段を登ろうとしたら、上から黒服の男が降りてくる。手には棒やくわが握られていた。それが数名だったが、どんどん人数が増えていく。
 「いたぞ!」
 「この下だ!」
 「来たっ!」
 アンの声は悲鳴に近い。部屋の隅まで後ずさりしようとしても、恐怖で足が動かない。
 「アン、来い!」
 オーフが手を伸ばし、アンの手を引いた。
 ドッとアンが立っていた場所に穴が開く。
 「潜るぜ」
 「え、あ!」
 オーフはアンを抱きかかえるとその穴に飛び込んだ。そして、穴は元のようにふさがる。
 「消えた!」
 「やはり、魔女だ!」
 「逃がすな、近くにいるはずだ!」
 男たちが叫んでその中から出て行く。それまで、二人は静かにやり過ごした。


草うららか |MAIL

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