気まぐれ日記
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最近サボっていたので、続き。
だいぶ涼しくなったころ、夏目は礼を言って、梶元の家を出た。 「トーマ様!」 セリナが夏目に向かって、飛び出してきた。 「セリナ? どこに行っていたんだ?」 「ずっと、悪い人に捕まっていたんです。でも、逃げてきました」 「そうか、大変だったね。でも、どうしてここに?」 「カメラ使いました。さ、帰りましょ」 「それは、出来ない。君は、セリナじゃない」 目の前のドールはセリナそっくりだが、別のドールだ。 「本物のセリナはどこだ?」 「……どうして、お分かりなったんですか?」 「最近さらに言葉が流暢になって、俺のことを、ちゃんと『とおまさま』と呼ぶようになったんだ。それと、セリナはカメラで追わなくても俺の居場所くらいわかるから」 「そんな……。セリナはドールではないの? 私と同じドールじゃないの。なのに……」 「君は、誰?」 しかし、答えはなくそのドールは走り出した。 「待って」 夏目は追いかけた。幸い外はあまり暑くないが、彼は走るのは苦手だ。相手はドールで追いつけるわけがない。 「来ないで」 そのドールが立ち止まった。 「あの子には……」 「あの子? セリナは?」 「とにかく、私はあなたのドールになるためのドールなの。でも、あなたは私を拒んだ。だから私についてきても、あの子には会えない。私は、もう戻る場所がない」 行き場のないドールは、メーカーに返される。彼女の記憶は消去され、別のプログラムが仕組まれる。彼女の場合は、少し違う。多分、セリナをコピーしたのなら、彼女にはコード番号も何もない。そんなドールは、違法とされて、廃棄処分になる。 (セリナは井上さんが特別登録しているので大丈夫だけど……) 「じゃあ、おいで。ただし、うちじゃないけど」 「どういうつもり?」 「悪いけど……ある人に会ってもらうよ」
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