気まぐれ日記
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2004年08月12日(木) では、続き「フェアリードール」を

 その前に、風呂入っていいですか?
 入ってきました。

 梶元が興味深く本を手にしていたので夏目は「貸すよ」と言ったので、借りることにした。しかし彼には何が自分に面白いのかわからなかった。しばらく考えて結局適当な本を一冊借りた。
 「これ、借りるぜ」
 「いいよ」
 彼はタイトルも見ずにその本を鞄にしまった。
 「それじゃ、そろそろおいとまするよ。身体大事にな」
 「僕もそろそろ帰るよ。来週セリナをつれて会社においで。メンテするからね」
 二人が去ると、夏目はまた居間のソファーにうつぶせになった。
 
 一駅分を歩きながら俺は、借りた本を鞄から出した。カバーの色のはげ方やふちの変色からかなり古い本だった。「妖精は語る」というヨーロッパ地方の伝承をまとめた本だった。知識程度に欧州の方ではそんな話が多いことを知っていたが、詳しいというわけじゃない。この程度なら子供に聞かせる話のように気軽に読めるものだろう。少し安心した。せっかく好意で貸してくれるというのだから無駄にしたくはない。と、言うより見栄だ。
 それにしても、あのドールは、なんなんだろう……。
 ドールは一度覚えると、間違うことはない。しかし、セリナは違った。あのアイスコーヒーだって夏目の言葉からするとわざとらしい。
 「ま、いいか」
 俺は、セリナの笑顔を思い出して考えるのをやめた。さすが、ドールというだけあってかわいいからだ。
 だから、どうでもよくなった。来週……訪ねてみよう。それで、セリナを作った会社に行ってみよう。もし、夏目と同じくドールに気に入られたら……。などと考えついてやめた。そんなむしのいい話はない。


草うららか |MAIL

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