気まぐれ日記
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なんてことない。パソコンのおまけのようなゲーム「スパイダソリティア中級」 しかし気づくと寝る時間すんでいたり……。
歩くとは何十倍も時間がかかることだ。よく人間はできるなと彼は思った。ようやくルヴィアの住む洞窟の前にいる。 「おい、ルヴィア。私だ」 洞窟の入り口に向かって彼は叫んだ。声が反射して響く。しばらくの沈黙後、地響きのような音がして、それは向かってきた。 赤く輝くドラゴン……ファイアードラゴンだった。 「その声、セルヴェスかい?」 「ああ、そうだ。久しいな、ルヴィア」 ヴィニーがあんぐりと口を開けている。ドラゴンの姿に驚いているのか、彼がルヴィアと話しているのに驚いているのか、その両方かもしれない。 「なんだい、その姿は?」 「ああ、これはな……」 彼はここまで来た事情を話した。ヴィニーのことについても。 「それは、自然に抜け落ちたものじゃないか。そんなもの、今どうすることも出来ない」 ヴィニーが手に入れたうろこは、自然に抜けたものでそれはめったにない、という。 「ああ、やっぱり」 「それより、セルヴェス。人間になって楽しいか?」 「まあな。少なくとも退屈はしない」 「馬鹿馬鹿しい」 「馬鹿馬鹿しいと言いながら、人間の言葉を使っているだろ」 「お前が使ってくるからだ!」 「どうだ、ルヴィア。私と一緒に……」 「この、大馬鹿!」 ルヴィアが彼に向かって火を吐き出す。すさまじい熱風が来たかと思えば猛火が彼らを襲った。 「ぎぃやああああ!」 ヴィニーが悲鳴を上げる。彼は少し笑った。 「元気がいいな、ルヴィア」 炎が収まると、彼らは火傷一つなくその場に立っていた。 「セルヴェス……」 目の前に、赤いワンピースを着た女性が、恨めしそうな声を出した。 「これは、一体どういうことだ!」 「似合うぞ、ルヴィア」 「勝手に変えるな! なんだこれは」 「人間の若い女の姿だ」 「しかも、かなり美人だよ」 と、ヴィニーが小声で言う。 「人間の雌にだって?」 「違う、ルヴィア。人間は雌といわない、女とか女性とか」 「うるさい! 早く元に戻せ!」 「しばらくは元に戻さん」 彼はそこから立ち去ろうとする。 「ヴィニー、うろこはもう、諦めろ」 「えーっ! そんな……」 「私と一緒に来るか?」 「……うん。掃除当番よりはいいかもしれない」 「じゃあ、決まりだ」 「ちょっと待て!」 ルヴィアの制止は聞かず、もと来た道を歩き始める。 「……わかったよ! いけばいいんだろ、行けば!」 ルヴィアの声がこだました。
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