気まぐれ日記
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短編のつもりで書いているのに長い。
今日、寒いなと思ったら、霰(あられ)が降ってきました。のちに霙(みぞれ)も。……ちゃんと漢字あるんですね。じゃなくて、四月も終わろうとしているのに、ねえ。
買い物で一日の大半が過ぎてしまった。日が傾きかけている。宿に戻るとシンハーがそこにいた。 「やっぱりこの宿だったんだ」 「シンハー、待たせたな」 「いや、いいよ。俺も今起きたばかりだし」 「お主はもう少し昼型になったほうが良いぞ」 「いいんだよ。別に」 シンハーが食堂を指差す。 「後で行く。お主、先に一杯やっとれ」 買った荷物を部屋に放り込んでロセウを連れて食堂に戻った。気の早い連中がもう酒盛りを始めている。シンハーはカウンターでブランディーを飲んでいた。 「すまんが、この子に何かジュースを。小生は軽めのワインを」 カウンター席に座り、メニューを見て、とりあえず注文をする。 「子連れで行くつもりか?」 「まさか。この子は置いていく。夕飯をとらせないとな」 「まるで、保護者だな」 「だが、いつまでも保護者をしているわけにはいかん。バルクに預けたいのだが……」 「まあ、あそこなら大丈夫だよ。親父が死んでも姉ちゃんや兄ちゃんいるし」 「それを期待しているのだが……」 「アニムの頼みだったら聞いてくれるよ。金以外のことなら」 「しかし、だからと言っていつまでも預けておくのも……」 「そんな先のこと考えても仕方ないだろう」 「それも、そうだ」 ロセウがアニムの袖を引いた。 「おれを、預けるの?」 眼が何かを訴えている。それは、このまま自分を連れて行って欲しい、そんな眼だった。 「……いつまでもお主を歩かせることになるしな。まだ、お主はどこかで定着している方がいいと思う」 「アニムは、こんなん時から今のような生活してたって聞いたけど?」 シンハーが手を腰当たりに下げて、笑った。 「お主はだまっとれ」 アニムが彼のほうを見ずに言う。 「やだ」 「しかし……」 「おれ、アニムといる。どこにも預けないで」 「モテモテだね。アニム」 「はあ」 アニムはため息をついた。 「ただし、仕事中は連れて行けんぞ」 「うん」 「今日は、一人でちゃんと寝るんだぞ」 「うん」
ロセウが食べ終わったのを見て、アニムはひとまず彼を部屋まで連れて行った。寝る準備を見届け、寝かせてからまた食堂に戻る。 「なんか、すっかり親だよな」 「しかたがないだろ。歳は二十歳をすぎているとはいえ、エルフにとってはまだ小さな子供と変わらないのだ」 「アニムはどう見ても中身は年寄りだよ」 「小生は人間生活に年季がはいっとるのだ。多分、そこだけ普通のエルフと違う」 「うん。で、あの子は?」 アニムはできるだけ短く説明した。シンハーはグラスに眼を落として聞いていた。 「ふーん。いろいろあるんだな」 「昨夜、かなりうなされていた。夢の中でも辛い思いをしておると思うと切なくてな」 自分も昔は、そうだった。寝るたびに、思い出させられることが何日も続いた。 「だけど、今日は……」 「分かっておる。ロセウのためにも養育費かせがんとな」 「だから、そういうとこが親なんだよ」
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