気まぐれ日記
DiaryINDEXpastwill


2004年03月06日(土) 今日で終わるかな

 今日で最後でもいいかな。でもまた新たに続くよ、『ウォンテッダー』は(笑)

 翌日、アニムはすっかり元気になった。身体をもてあましていた。
 「しっかし、丈夫だよな、お前は」
 「何を言う。鍛え方が違うのだ」
 アニムはそう言うが、バルクは、エルフはもともと丈夫な生き物ではないかと思い始めていた。エルフの生態についてまだ謎の部分が多いからだ。
 「今日は買い出しだな、アニム。どこへ行く?」
 「そうだのう。一応スノムウェインのことは終わったし……せっかくサルディクルディの大陸にいるのだから、この辺をのらりくらりしようではないか?」
 「結局それか。まあいいか?」
 ティママンとブロードはまだ寝ている。それをたたき起こした。
 「いつまで寝ておる」
 「お前たちはどうするんだ?」
 ティママンは、帰ると言った。
 「魔界に帰るよ。いろいろやることもあるし。おい、ブロード。お前も来い」
 「……なんであんたと?」
 「力の使い方、みっちりと教えてやる。そうしたら誰もお前にちょっかいかけなくなるだろうよ。少なくとも、元人間だからってな」
 「……そうだな、魔力抑えるのも微妙に違うらしいし。あんたに任せてみるか」
 「おい、そうと決まれば、びしっばしっとやるぜ」
 「……やっぱりやめとく」
 「もう遅い。キャンセル無効」
 ティママンはがっちりとブロードを羽交い絞めして、じゃあなーと消えていった。ブロードの抗議の声を残して。
 「……行っちまった」
 「静かになったのう」

 その夜、酒場で二人は軽い夕食を取った。昼間は買い出しに明日の準備と忙しくしていた。軽く飲んだらそのまま寝て明日に備える。
 「そういえば、ここでお別れじゃないのか?」
 もともとは別々に旅をしていた二人だった。しかし今回は、二人とも何も言いださない。
 「お主、こんな見知らぬ土地で一人で旅をするのか?」
 「……初めての場所は普通知らねえだろ。それにお前だって一人で……アニム、まさか、お前、さびしいのか?」
 「な、なに何を言うか! わかった。明日、お別れだ。長い間世話になったのう。世話もしたけれど」
 「おいおい、意固地になるなっつーの」
 「なっとらん! またどこかで会えると良いの。次は十年後か二十年後か、だな」
 「アニム……お前って奴は」
 「そうだ、借金今すぐ返してもらおうか?」
 「金ねえのわかってるくせに……」
 「冗談だ。……ルイはどうしているかのう」
 アニムははちみつ酒を一口飲んだ。
 「どこまで冗談なんだか……。さあな、急にだったからな」
 「とにかく、明日はお別れなのは確かだ。やはり、ルイはもう、戻って来れないかもしれんのう」
 昨日の夜、ティママンが言っていた。悪魔界の総統と天界の天主はルイをめぐって争っている、と。唯一の継承者ルイはどちらかにしかなれないので、どちらかが空席となり、継承者以外の適応者の誰かが埋めなくてはならないとなる。それがどちらかで今もめていると。
 「どちらになったとしても忙しくて会えねえか……」
 「そんなこと、ないわよ」
 「そうだと、いいのう……」
 アニムはバルクと顔を見合わせ、後ろを向いた。
 「勝手に決めないでよね。お別れなんて」
 「ルイ! でも、なんで?」
 「まだもめているから、逃げてきちゃった」
 ルイは空いている席に座り、夜のお好みデザートを頼んだ。
 「今度は、どこに行くの?」
 「そうだのう、適当な賞金首がいるところがいいのう」
 「どうせなら、でかいのにしようぜ。どうも暴れたりねえし」
 「それも、言えてる。ならば……」
 アニムがチキンソテーの皿とサラダボールをよけて手配書と地図を広げる。
 「じゃあ、アイスクリームのおいしいとこ!」
 「なんじゃ、そりゃ」
 「まあまあ、ルイらしいではないか」
 夜が深まり、少し酒場が騒がしくなった。それは客足が増えただけじゃなさそうだ。
                            終わり 


草うららか |MAIL

My追加