気まぐれ日記
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『フレクア一人旅』をお送りします。タイトルまんまの内容です。三日くらいで終わるといいなって思ってます。
「ランタルナぁ……」 彼女がランタルナ行きの船に乗ったと気づいたのは、二日後、行き先連絡事項の放送によってだった。しかし、彼女はすでに自分がどこに行くか、なんていうのは気にせず、ただ一人旅を楽しもうという気持ちでいたため、まあいっか、と思い直した。そこは、神経の太いビアソーイダ王族の特徴とも言える。 フレクアはこの二日で船をくまなく歩き回った。毎食が魚介類ばかりと言う点を除けば食堂の料理もおいしいし、部屋は個室であるし、退屈しのぎに甲板に行くといろいろなアトラクションもやっている。 夜は、ランタルナで何をしようか考えた。所持金は自分の小遣いで、限りがある。まず、着いたら仕事探しだった。適当な賞金首を狙う。ウォンテッダーだ。叔父であるバルクを始め、姉も兄もこの職が気楽だという。確かに、ウォンテッダーは制限のない職だったが、必要なのはその腕にかかっている。 船旅も明日で終わりになるという夜、彼女は食事中声を掛けられた。男の声だ。彼女は食べながらも身構えた。 しかし、急に叔父の言葉を思い出した。「落ち着け」 声を掛けた男からは殺気も何も感じない。 「君は、剣士ですか?」 「はい、そうです」 二十代半ばの聖職者だった。落ち着いた感じ優男である。 「ああ、良かった。ぼくはランタルナで神殿主見習いのゼデューと申します。実はお願いがあるんですが……」 「私はフレクア……」 フルネームを言おうとしてやめた。王族などと言っても信じられなさそうだし、ややこしいことになりそうだから。 「フレクアさんですか。ランタルナは初めてですか?」 「ええ」 「ぼくはビアソーイダでお使いをした帰りなんですが、大切なものを預かったんですが、最近のランタルナは物騒でして……強盗団による被害が多いんです。だから……」 「すいません、私でよかったら雇ってください」 「はい? まあそのつもりで声を掛けましたが……」 フレクアは王族というところを省いて、更に家出と言うのも伏せて事情を説明した。 「つまり、おじさんとの実力の差を見せつけられて修行の旅に出られたのですね」 「平たく言えばそうなんです。だからどれだけ役に立てるかわかりませんが、お願いします。正直一人でどうしようって思っていたんです」 彼はしばらく考えた。船に乗ってからというもの、剣士や戦死など、腕っ節のよさそうな人々に声を掛けたが誰も相手にしてくれなかった。 「ぼくはあまりお金を持ってません。だから宿代くらいしかだせませんが 神殿まで着いたらそれなりのお礼はします」 つまり、OKをくれた。と、いうわけで彼女は、ゼデューに雇われた。
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