気まぐれ日記
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一ヶ月たちました。今月もがんばるぞっと。今日はちゃっちゃっと終わらせて寝ます。
井上は週一回は夏目を訪れる。なにかとデータが必要で、上司の山田もせかしているためだった。 「今日は井上さんがきますよ、トーマ様」 セリナに起こされて夏目は起きた。夜間のバイトのため、いつも昼間まで寝ているのだがその日は早めに起こされた。 「おはよ、セリナ」 「おはようございます。トーマ様。いつもの、ですか?」 「ああ、いつものね」 いつもの、夏目用のコーヒーをセリナは毎朝入れる。それがだいぶ板についてきた。しかし、たまに、普通のコーヒーを夏目に出すことがある。夏目はそれでも、黙って飲んでいる。それを井上に話したことがある。彼は大変驚いた。 「ドールは一度覚えたら、間違うことはないはずなんだが……」 さらに、セリナは散らかった夏目の部屋の片づけをした。教えてもいないのに。これも井上に話すと、ありえないと言った。当初は驚くことばかりだったが、一ヶ月もたつと落ち着いていた。セリナは今では普通のドールのようにかいがいしく世話をしてくれる。ただ、いまだ夏目をマスターにした原因は不明であった。 「今日は、トーストにしますか?」 「ああ、頼むよ」 セリナは夜、充電のために寝る。そのため行動時間はほとんど夏目と同じである。 「あ、今日もリュウノスケさんが遊びに来ましたよ」 「あっ、ほんとだ」 ベランダをあけると、野良猫がひょっこり入ってくる。夏目は耳がいいが、セリナはもっと良い。まあ、ドールとして当たり前だが。夏目が猫を抱き上げた。 「お前、最近よく来るな? えさがないのか?」 キャットフードなどないので冷蔵庫からチーズをだして一切れやる。猫は加えるとさっと、夏目の腕をすり抜けて床に降り立ち、ベランダから出て行った。 「つれないなあ」 リュウノスケは夏目が勝手につけた名である。彼は迷い猫をみな、リュウノスケと呼んでいた。深い意味はなく、昔飼っていた猫がその名前だったからだ。 「あ、このチーズ、そろそろやばいな」 「それ、食べますか?」 「オムレツかなんかにいれてくれないか?」 「はい」 そして、見事に崩れまくったチーズオムレツがテーブルにあがった。 「……」 夏目が手本だとそうなるのだった。だからセリナの料理は上達しない。 「料理番組でも見せるかな……」
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