| 2005年01月05日(水) |
ベッド The Bed |
ようやくここに来た。 アルビーはそう思った。 数々の心配事がぼんやりと薄らぎ、反対に眠りに向かっていく時の心地よさが彼の体を包み込んだ。 安定という言葉を彼は思いつく。 その瞬間、彼を載せていたベッドが片側に傾き、ずずずずと彼は床へ流れるように辿り着いた。 彼はなんとなく、ベッドが傾いたことには疑問を抱かず、まあ床なら傾くことはないから安心して眠られるだろうと思い、改めて眠りに向かっていった。 安心したのも束の間、今度は飼っている犬が今までにないくらいの大きさで主人である彼に何かを訴えようと吠えている。 彼は玄関を出た。 そういえば僕は犬を飼っていない。 犬を飼っている夢を見たことはあるが。 ではあのワンワンと吠えていたのはなんだったのだろうか。 近所の犬だろうか。 だとしても、僕が玄関から出た時にはもう、ピタリと吠えるのをやめていた気がする。 彼は自分の眠さを確認するように右瞼を擦った。 玄関の方に振り返った彼の意識は一瞬止まった。 家がなくなっていた。 そこには家の跡形もなく、土地のみが広がっていた。 まるで夢のようだ。 さほど寒くもないので、彼は土の上にごろんと転がり、眠ろうとした。 案外土って暖かいんだなということを彼は感じた。 そう感じた瞬間、彼は土の中に潜っていった。 進行方向を見ると、大きなモグラが土を掘り進んでいた。 地面に対して垂直に進んでいるにも関わらず、彼はモグラに追突することなく自動的に進行していった。 つまり彼は浮いていた。 初めは入り口の地面に対して垂直に進んでいたようだが、途中から方向が変わったらしく、彼は見知らぬ大地に吐き出されるように着いた。 着いた途端、彼はスポッと地球外の宇宙にいきなり重力に反して持ち上げられた。 そうして今、彼は宙にプカプカと浮かんでいる。 「ああ、あのベッドが恋しい」 いきなり、宇宙にもかかわらず猛烈な勢いで下へ下へと落ちていく感覚に襲われた。 僕はどこへ落ちていくのだろう。 これ以上落ちていくところがあるのか。 彼は音もなくベッドの上に落ちた。 彼は心底ホッとした。 それは、元のベッドとは若干違うものの似たようなソレだった。 辺りは暗いままだ。 ここは宇宙なのか。 きっと宇宙なのだろう。 彼はそう思った。 暗闇の中、ベッドに横たわる彼。 彼が孤独だなと思った瞬間、パッと明かりが灯り、知った顔や知らない顔の人間がそこら中に集まっていた。 みんな、僕と似た形をしている。 彼はそう思った。 みんな、僕の仲間なのか。 そんな疑問を持った瞬間、頭上からこんな声が聞こえてきた。 「それは決めるのはお前だ」 周りの人間は皆、フリーズしている。 彼は悩む余地もなく仲間だと確信した。 フリーズしていた皆が、こちらによってきた。
―END―
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