俺はアルバイト先のある一室で一時の休憩をとっていた。 その部屋には低い机があり、俺はそれに向かってあぐらをかいていた。 俺は疲れた目を癒すべく、目薬を差した。 そして目薬を胸ポケットにしまい、机にあったティッシュ箱から一枚のティッシュを取り出し、目から溢れた液を拭き取ろうとした瞬間だ。 コンコンコン 誰かが俺のいる部屋の扉を外からノックした。 まずい、今入ってこられたら俺が泣いていると思われる。 目に持っていこうとしていたティッシュを持った手を膝の上に戻し、俺は誰かが入ってくるのを待ち受けた。 そして入ってきた人に挨拶をし、その人が低い机に向かって座るのを待って、こう言った。 「今目薬をして拭こうと思っていたんですけれど、言わずに拭いているのを見たら泣いてると思いますよね」 「うん、目薬が見えなかったらそうだね」 俺はティッシュで目元を押さえた。 もし本当に泣いていた場合でも、そう言っていたら誤魔化せたかもしれない。 充分に使える手だ。 え、泣いていたら目が赤くなっているからバレるって?
―END―
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