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「真夏の島に咲く花は」垣根涼介
2006年12月05日(火)
フィジーで暮らす、人種の違う4人の若者。
旅行会社に勤める日本人の茜。茜の恋人であり、ガソリンスタンドで働くフィジアンのチョネ。チョネの同級生で、高校時代に両親に伴われフィジーに移住し日本食レストランを経営する日本人の良昭。良昭の恋人で、チョネとも元恋人である、インド系フィジー人のサティー。
クーデターが起こり、観光業が打撃を受けるフィジーで、4人はそれぞれの思いを抱える…。

この本を読みかけていた12/5、フィジーでクーデターが起きたというニュースを目にしました。
フィジーという国は、元から住んでいたフィジアンと、イギリスの植民地時代に連れて来られたインド人の子孫であるインド系フィジー人との間に確執があるのだそうです。
食べ物や気候に恵まれたフィジーで育ったために、働くことに意欲がないフィジアン。そして、働き者のインド人。
それに輪をかけて生真面目な日本人。金儲けにがめついと言われる中国人。
日本では、約束を守ること、勤勉であること、自分のもの他人のものをしっかりと区別することは美徳であるが、それは決して全人類の共通ではないんだというくだりは、考えさせられますね。
肌の色ではなくて、考え方・生き方の違いというのが、いさかいの元なんだなとつくづく思います。

そういった、国や人種の問題などを扱った作品ではありますが、4人の若者がそれぞれに好きな相手に対して抱える気持ちなどによって描かれているため、とても読みやすくわかりやすいと思います。
日本人にとっては怠け者としか思われないフィジアンの若者であるチョネを見守る茜の視点が、とてもうまいので説得力があるんですね。

まーでも、多くの日本人が、「自分はフィジーでは暮らせない…」と思うのではないでしょうか。
それは、「しあわせってなんなんだろう?」という疑問も呼び起こします。

物語としては、中盤まで特に大事件が起きるわけでもない日常を、退屈させずに描いてるのがうまいなと思います。
終盤の展開は、私は好きではなかったので残念だと思いましたが…。
★★★


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