言の葉
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昔は雨が好きじゃなかった
子どもの頃 朝起きた時に雨音に気づくと 途端に憂鬱を感じたりした 楽しいはずの今日という日を 妙に薄暗く感じて 哀しくなったのを憶えている
今思うと 子どもの頃って なんで無条件に今日が楽しく予感できたんだろう 学校にいって友だちと話をするだけで 自転車で走り回るだけで ただそれだけで楽しいって感じられた 興味深き日々
長じて後 雨は決して嫌いなものではなくなっていた なぜだろう 傘をさすとか 持ち歩くのはもちろん面倒なんだけど 思い返せば雨の方が記憶に残るから
雨じゃない状況が ごく当然と思っているせいか 雨の日の記憶の方が いつも自分の中で勝る
わざわざ一つの傘で歩いたあの道あの街 雨だからって理由をつけて 二人でゴロゴロしていたあの部屋 デートするときはいつも雨だねって 笑いながら話したあの子
一粒一粒の雨は 一瞬たりとてこの手に留まることはないかもしれない でも連綿と降りつのる雨は いつしかボクに永遠の記憶を刻みつけていた 単調でかつ複雑な音の和とともに
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