言の葉 DiaryINDEX|past|will
押すと言葉がかわる投票釦 東京はまだ雨も落ちていない 今がチャンスかもしれない 当初は昨晩出発しようと予定していたが 台風の影響で事故が起きたら面倒なことになると思って 今朝まで出発をのばした それが正解だったと思っていられたのは たった1時間あまりしかなかった 都内はさすがにすいている これまでの最短時間で高速の入り口に乗っていた 静岡県に入るまでは順調だった 富士をすぎる頃から 急に風雨が強まり あたかもバケツの水をひっきりなしに かけられているかのよう 最高速で動くワイパーも ほとんど役にたたず 通りすぎた一瞬 目の前が開けるといった具合だった 前をいくのはダンプカー 大きな車輪から立ちのぼる水しぶきが 目の前を覆い尽くす 低くたれ込めた雲の合間 こぼれるような豪雨 ハンドルを常にひきよせる強風 走っているうちに あたりは雨と風の音 そして視界は白く遠くぼやけていく あぁ 死ぬのはこんな時かもしれない 死ぬことってこんな感じだろうか 眠くもないのに 意識が混濁しかけている 白いもやの向こうに浮かぶ 前を行くダンプのテールランプが 右に左にゆらめいて いつしか現実感を奪い去っていく ↑ 押すと言葉がかわる投票釦 ぼんやりとしていた意識が 急に鷲づかみされ揺さぶられたかのように目覚める ↑ 押すと言葉がかわる投票釦 家を出て4時間後 ボクは実家の庭先にたっていた さきほどまでの自分を振り払うかのように 雨に濡れ風に揺られながら 1935
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